第132話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(34)
実はね、彼は?
と、いっても。隣の御老体の事なのだが。
彼は己の仕事、商い。物品、加工食品販売業が暇……。
そう、お客様達の足取りが、御老体の売り場から離れ、遠のく。売り場に人が止まらず、足取りが早くなるのが。なる事が長く続けばね。
御老体は子供返りしたような寝くじと不満を漏らし嘆き始めるのだよ。
毎度の如くね。
『今の若い者は』と、言葉を添えてだよ。
だからその都度家のおじさんが『ああ~』、『そうだな』、『それは違うだろう』と、二人の間で会話。世間話しを繰り広げ、続けている。日常茶飯事の出来事。この山の中。緑の自然に囲まれた道の駅の風物詩の一つと化している事だから。
パッと、二人の様子。家のおじさんと御老体の事なのだが。
二人の他人の目も気にしない。大変に大きな声音での会話。世間様に対しての色々な愚痴や不満を聞いても、余り気にしなくて。されなくてもいい。
年寄り二人の『昔は良かった』と、言った。各自が若い。幼い頃の事を思い出しては、昔話に酔いしれながら楽しく会話して。弾ませているだけだから。
いくら二人の年配者の男達が、己の眉間に皴を寄せて怪訝しい表情をしながら、世間に対しての不満や愚痴を漏らし、呟き、嘆いていても。ソッとしていて欲しい。年寄りの愚痴と言う奴だから。
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