第108話 話しは飛ぶが、齢九二歳の昭和の昔話……。(10)

 でも、問いかけられてもね。家のおじさんも先程と一緒だよ。


 それ?



 そう、というか? 普通に何処の家庭でも幼い子供達が家にいれば、親達の行動、台詞は。


『人、他人とぶつかり、衝突すれば、怪我をするからこちらにおいで……』


『お父さん』


『お母さん』の『側に今直ぐにおいで……』


『さぁ、早く。早く~』と。


 親達の口が自然に開き、行動──。己の持つ腕、掌を子供達へと差し伸べ、急かしながら自分達の傍へと呼び、己の子の腕を優しく掴んで、強く握る。


 自分達、親達の側、手許から離れないようにと。


 それが普通の家、家族のあり方だと、家のおじさんは思う。


 また、その状況が、己の目に映る。と、いうか?



 今も昭和世代で仲良く並ぶように商い。物品販売をしていても、家のおじさんの二つの目に光景として、先程から映るからね。


「おじさん、普通にそれでいいのではないか?」と。


 家のおじさんは隣、昭和一桁産まれの御老体へと呟くように告げる。



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