第12話*武器商人はチート持ち
千歳は突如現れた表示に驚いた。
(これって?)
千歳は不思議に思いながら武器商人を見る。すると、武器商人は微笑みながら千歳にウィンクした。
(後で聞こう)
「それで、帰属化するの?」
「最後に一つだけ聞かせてほしい」
「なに?」
「ここは、安全か?」
千歳はその質問に馬鹿にするように笑うと、逆に質問した。
「あなた達がこの世界に来てから、安全と思える場所はあったの?」
「...」
千歳の質問返しに言葉が出なくなる先輩転移者達。その様子を見ながら千歳は話しを続ける。
「その沈黙が答えでしょ。私達はこの世界に来て、そもそも安全と危険の違いなんて知らないわよ。十何年この世界で生きているあなた達の方がよっぽど詳しいはずなのに、どうしてそんなおかしな質問をしたの?」
「それは...」
「あなた達、逃げて来たんだったっけ?。まぁ、おかしいわよね。43人でこの世界に来たのに、ここにいるのは半分以下の15人。他の人達はどうしたの?」
「......」
俯せたまま、何も言わなくなる先輩転移者達。
「みんな。死んだ?」
「違う。まだ生きてる。全員」
「そう。なら、どうして逃げた者と留まった者がいるの?」
「それは......」
先輩転移者達は非常に言いずらそうな様子を見せると千歳が言った。
「別に言わなくてもいいよ」
「えっ?」
「どうせ、この先、知ることになるんだから」
「それは、どういう意味なんだ?」
「私は、この世界について、何も知らない、でも一つだけ目的は決まってる」
「目的...」
千歳は少し微笑みながら言葉を続けた。
「この世界が今、戦乱の世なら、私はこの世界を壊して、日本のように平和ボケした世界を目指す」
「どうやって?」
「言ったでしょ。戦乱の世で目的を遂げるには、戦って、殺して、奪いとるしかないでしょ。私を脅かす存在が消えるまで」
「...悪魔か」
「悪魔上等、むしろ魔王となって、この世界に君臨してやるわ。選びなさい。魔王の望む平和ボケした世界を共に目指すか、あなた達が十何年生きてきたこの世界の住人達が作り上げる世界で生き続けるのかを......これが最後の質問よ。帰属化する?しない?」
☆
「ミス千歳ハ、ヤッパリ素晴ラシイデスネ。私必要ナカッタ気ガシマス」
千歳と武器商人は広い廊下を歩いていた。
「お世辞はどうでもいい。教えなさないよ。あなたが何をしたのか」
「オオ!。ヤッパリ、気ニナリマスカ?」
「当然でしょ。いきなりスキルが発動したんだから」
「ワカリマシタ。ゴ説明シマス」
武器商人が千歳に説明したのは、武器商人専用スキル『嘘から出た誠』の能力。このスキルは嘘が本当になるという言葉通りのスキルではあるが、発動条件があるそうで、
一つはついた嘘が本当になった時の事を想像できていること、つまりは、実際に本当になることが有り得なければ発動しない。
二つ目は、相手に嘘をつくこと、この時につく嘘は、本当になった時に起こるはずの現象を語ること。
三つ目は、相手が勘違いすること、自分からどんなに本当になってほしい嘘を言っても発動はせず、相手から本当になった状況の言葉を引き出す必要がある。
四つ目は、相手がこのスキルを知らないこと。知っている相手との会話では決して発動しないスキルだそうだ。
「つまり、あなたのその条件がすべてさっきの会話で揃ったからスキルが発動して、今はポイントで異世界の物を呼び寄せられると」
「ソノ通リデス。ミス千歳」
「これで、あなたの本領発揮が可能ってわけね」
「フフフ。ミス千歳。ソレハ内緒デ、オ願イシマスネ」
武器商人は不気味で何か企んでいるかのような顔で唇に指を添える。
「言わないわよ。あなたは秘密が多ければ多いほど強いんでしょ」
「サンキューデース。少シ、戦争ニ備エテモ良イデスカ」
「どうぞ。集合時間には、いてよね」
「ワカリマシタ」
そういうと、武器商人は千歳とは別の方向い移動していく。そして、千歳も自分の部屋に戻ると『亜空魔』でメニューを見ることにする。
「異世界の物をポイントで呼び寄せてみようかしら」
【現在の取得ポイントは23,124ポイントです】
「多すぎない?!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます