第4話 パンやのばばあ

いつも行っている、パン屋さんに行った。

入ると、「いつもありがとうございます」とおばさんが声をかけてくれた。

ああ、知らない人だけど、この人は俺のこと覚えていてくれてたんだと嬉しい気持ちになった。

バケットを一つ取って、レジに向う。

その時、奥から「これどうすんのー」とお年を召した女性がでてきて俺を見た瞬間、ごめんなさいぃぃぃと言って奥に戻った。



レジ横のガラスのショーケースの中にカンのジュースが数本と一つだけデニッシュが残っていた。

「チョコデニッシュください」

「チョコデニッシュ?」と言って、そのおばさんはショーケースの中を覗いてから、レジをでて、客側のスペースにでてショーケースを確認した。


え?

一つしかないよな……

なんで確認した


「これ、チョコデニッシュじゃないんですか?」

「あ、これですね」


そういって、レジに戻ってデニッシュをケースから出す。

一つしかなかったのになんで、と笑いながら俺が話しかけると、おばさんはこう言った。

「不慣れなもので」

ばばああ!お前、いつもありがとうございますとか迎えてきたくせに、俺の顔知ってて言ってないよなそれええええ!

来た人全員に言ってんだろ!

確かに一回も見たことない人だったから、誰?この人とか思ったけどなんなんだよこれ。

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