其の漆 「気を付けろ」{怖}
今年の7月に体験した話。
僕は家から高校まで距離があるので電車で通っている。
その日は部活の大会が近く、帰りが少し遅かった。
親子連れやサラリーマン、高校生などのいる車内に
「次はー00ー、00ー……」
とお馴染みのアナウンス。
減速感を感じつつ、扉に近づき、開くと同時に降りる。
ホームの階段に向かって歩いているとドンッと誰かにぶつかり、ゴトンッと重い物が床に落ちた音がした。
「あ、すいません」
思わず振り向き、謝る。
すると、中年の男性に鬼のような形相で睨まれ、
「夜道に気を付けろよ、てめえ」
と憎々しげに言うと、ぶつかった時に落としたであろう木の箱を拾い、大事そうに抱えて電車に乗っていった。
去っていく一瞬の間に男性とは違うとても高い声で
「気を付けろよ」 と言うのが聞こえた。
何時の間にか周りには誰も居なくなっていた。
その日は親に車で迎えに来てもらい、
今も帰りは、毎日迎えに来てもらっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます