其の参 「ままごと」{怖}

先々週、会社帰りに体験した話。


俺はいつも徒歩で会社に行っていて、大体2つのコースがある。人通りが少ないが早めのコース、人通りの多い遠回りコース。その日は仕事を早く終えることができ、定時に退社したった。


9月と言ってもまだ夏だし結構明るかった。気分が良かったんで遠回りのコースを使い、のんびりと歩いていた。

公園の前を通ったとき、

「こんこん、おかあさんですよ」 

「おかえりなさい、お母さん。いまおちゃをいれますね」

などとと声が聞こえた。

どうも、ままごとをして遊んでるようだった。


通り過ぎるときに何気なくそちらを見た俺は、2度見してからその場に固まった。小学生くらいの女の子が2人で遊んでいて、母親らしき女性が2人、ベンチで話していた。

そこまではいい。普通にあり得る光景だろう。

しかし、夕日に照らされる女の子二人の手元には、どう贔屓目に見ても肉塊にしか見えないモノがあった。

敷いてあるシートやコップなどの道具が真っ赤に染まっていて殺害現場のようだった。

悲鳴もあげれずに呆然としていると、

「おかあさん、おきゃくさんですよ」

と人とは思えない声が聞こえた。女の子が2人とも、こちらを見ていた。

その時、俺はシートのそばに揃えてある靴が3足あるのに気がついた。

俺は全力で走った。

胃が捩れているのが分かった。

今すぐ吐きたかった。


それから、体感時間で10分とかからず家に着くと、何故か21時を回っていたし、訳がわからなかった。

とにかく、めちゃくちゃ怖かった。あれは幻覚か、幻覚か、現実か、人か、霊か、妖か、何だったんだろうと思う。



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