古本、名前、運命

 名前なんてない古い図書館がある。

 古代の防衛機構が作動していてうかつには近づけない。

 その図書館には運命を決める場所があるという。

 僕はその場所を探るために図書館へ侵入した。


 内部は年代がたっているとは思えないくらい綺麗だ。

 本も新品同然で、古い本なんて一つも見かけやしない。

 まあ、全部文字がわからなくて読めないんだけど。

 そういう意味では古いんだろうな。

 本の名前だってまったく分からないし。


 内部に侵入しては防衛機構に引っかかって入り口まで逃げ帰ることをして数日。

 脳内で配置図が展開できるくらいになっていた。

 今回はうまく侵入できる。

 その確信がある。

 実際上手く侵入できた。

 目の前にはぶくぶくとした空気が入り、そして緑の液体が充填されている筒。

 その中で眠っているように見える女性。

 よく分からないテーブルには点滅する赤いボタン。


 乗るか、反るか。


 確かに運命が決まりそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る