『制服』『水彩画家』『口紅』

 制服女子を書いている水彩画家の依頼で、水彩画家のモデルになることになった。

 内容は非常に簡単、制服を着て、座って、書きあがるのを待つだけ。


「そうだ、これちょっとつけてよ」

 そう言って渡されたのは一つの口紅。

「これは……」

「口に色があるほうが張りが出てね。頼むよ」


 付けたい、つけたいが、出来ない。

「どうしたの?」

「初めての、口紅なんです」

「あ、そうなんだ、じゃ、貸して」


 画家に口紅を渡して塗ってもらう。なぜだか非常にドキドキした。

 初めての口紅、初めての化粧。


「本当についでだから」


 ということで、化粧も施してもらった。

 それは私を生まれ変わらせるには十分だった。


 水彩画家が描く。といっても、心はすでに化粧のことでいっぱいだった。

 化粧。

 化粧。


 私が生まれ変わったその水彩絵画は、コンテストで金賞をもらった。


 絵画の名前は「生まれ変わるとき」

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