第9話
弟は一通り話しを聞いて分析モードに入っていた。
「うん。今までの補助金の使い方と地域住民に新しく協力してもらうプランはわかったよ。でもこれだけでは、弱い気がする。まあ、うまく言えないけど」
『もちろんこれだけでは弱い。だから、これを足掛かりにもう1つの作戦を使う。』
「伐採案ともう1つ?」
こういう時、自分のネーミングセンスの無さが嫌になる。ゲームを始めるときの名前の入力も苦手だし。
『使い方案というか』
この絶望的なセンス。
『今までの方法だと補助金を使って問題解決をしていた。つまり、補助金がなくなったら問題が解決しない。問題はほっておくと拡大し次の補助金が必要になる。だから、最初の補助金を足掛かりに次の予算を算出する。この問題から予算を作れないなら関連する他の問題から予算を作る。』
つまり、予算からの錬金術。アルフォンス・エルリ、、、、、心の中に留めよう
「具体的には?」
『まずは、最初の案。伐採した竹はチップにする。地主が希望すればレンタルして竹破砕機を持ち込んでその場でチップを作り散布する。保温効果と保水効果でタケノコが育ちやすくなる。もし可能であれば、そのタケノコを収穫もしくは消費するイベントを行えば取り組みのアピールになる。』
どや顔をしたいのを抑えながら弟氏に淡々と語っていく。
『余った竹は一時保存した後、チップを発行たい肥にして農家が多いこの地域なら価格次第では商売になる。また、チップをさらに細かくして竹粉にすることで牛舎、豚舎の敷材にすることで衛生管理や臭気の緩和も期待できる。後は竹炭だな、これも田畑の土壌改良資材として販売する。』
話しを聞きながら分析モードの弟氏はおもむろに右手で頬をおさえる。
「流通を考えると農協やらを通す必要があるし、そもそもの竹の価格帯って」
スマホを取り出し竹の価格帯を確認する弟氏。
「大体、1キロ8円ってとこだね。」
そう、実際に行動に移す場合には、通さなきゃならないルートがあるし、専門家の協力が絶対に不可欠だ。しかし、今回は地方議会に向けて案を作成することが目的であり、この家族会議が即法案にあるわけではない。大体、流通に必要な話し合いも直接市長がやるわけではない。優秀な地方公務員はたくさんいる。適材適所ってわけだ。
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