第38話 御影宅ダンジョンへの来訪者
マグナ・ダンジョンでの目的を果たし、次なる目標として素材として便利な虹星石を集めるため実家の地下にできたダンジョンに潜っている。エアリスによると虹星石は支配者となっているモンスターが必ずドロップし、突然変異や上位進化したモンスターもドロップすることがあるようで、それを目当てにといったところだ。
1層を歩いていると、これまで1層ではモンスターに出遭ったことがなかったが、それは突然現れた。エアリスの索敵も直前までそれを発見できなかったことから警戒を最大レベルにまで上げた。
そのモンスターは全長10メートル近くあるのではないかというほどの長さ、太さは軽く俺を一飲みにして有り余るであろうほど。真っ赤な虹彩の中には金色の血管のようなものが脈打っている。口の先からはチロチロと二股の舌が出入りし、開けば真っ赤な口内に長い毒牙がの覗き、その毒牙から滴る液体は地面に落ちるとジュッと音が鳴る。その大蛇は真白だが鱗と鱗の隙間から明滅する金色が見えなんとも美しい。
その美しさとは裏腹に、今すぐ逃げ出したくなるほどの恐怖心を抱いてしまい足が震えそうな、というか小さく震えている。
ただそこにいるだけで感じる威圧感に対し冷や汗で応えるしかなく、戦ったとしても勝ち目があるとは思えなかった。そんなことを知ってか知らずか、白い大蛇は頭に直接響く声で話しかけてくる。
『面白そうな気配を辿ってみたが、そなたは人間か?』
テレパシーではあるが人と意思疎通をする蛇。そんなのやばい相手に決まっている。戦いにはならない方がいい。
「……ただの人間ですよ」
『ほぉ……しかしただの人間とは思えんのだがのぉ。ふむ、その腕輪になにかいるな?』
大蛇はエアリスの存在に気付いたようだ。ますます警戒が強まる。
「よくわかりましたね。いますよ。人間ではないものが」
『そうかそうか。やはりな。しかしその気配とはやはり違うな。そなたの気配が面白い気配で間違いない』
目的はなんだ? 面白い気配……俺を狙って来たのか? とにかく意思疎通はできるんだ、戦闘にならないよう会話を続けるしかない。だが結局目的を直球で聞いてしまうあたり、会話が下手で困る。
「そう……ですか。それでここへは何をしに?」
『そうであった。そなた、名を何と申す?』
「……悠人(ユウト)です。あなたは?」
『これは失礼したな。我はイルルヤンカシュ、とある地では龍神とされている』
(は? イルルヤンカシュ? 日本だぞここ! なんで中東の神話がここにいるんだよ!)
これは”カミノミツカイ“なんていうものとは格が違うだろう。それは対峙しているだけでもわかるし、神話に”神“として名が載ってもいる。
ーー 仮説ではありますが、日本各地のダンジョンと同じように、世界のダンジョンとも繋がっているかもしれません ーー
『それで何をしに来たかだったな、そうだな、特にないのだが……そうだな、そなたを見てみたくて来たのだ』
おや? おやおや? と言う事はつまりあれかい? 戦いに、というか俺を食いに来たわけじゃ無いってことかい?
「『来た』ということは、あなたはどこか別の場所に住んでいるんですか?」
『その通り。我はここより遠い異国のダンジョン深部に住んでいる。その土地はあまりダンジョンがなくてな、言わば娯楽がないのだ』
「娯楽、ですか。それならばお時間はあるということでよろしいですか?」
『良い。聞きたい事があるなら申してみよ。ひとつだけ答えてやろうぞ』
せっかくだ、教えてくるというなら質問しとこ。
「ダンジョンとは、という質問はさすがに答えてはくれませんよね?」
『うむ。それは我が教えるわけにはいかんな』
「では、『カミノミツカイ』をご存知ですか?」
『知っておる。あれらは神の遣いという名前通り、この人界層より高位の層へ導くための存在だ』
導く存在。やっぱり予想は当たってたってことだ。まぁこの蛇の言う事が正しければだが。しかし襲いかかってくるということはあっても”連れて行ってくれる“というのは、遭遇例も少ないとは言え俺は聞いたことがない。
カミノミツカイを倒した際、またはさくらのように隷属化のような状態にした場合、支配者権限というものを得ていることを思い出す。それは他の階層のボス級、支配者となっているモンスターを倒した時にも得ることができることから、それが関係していたりするのだろうか。
「やはりそうでしたか。その鍵は支配者権限ということですか?」
『そうだ。……ふむ。なるほどな。そなたは支配者権限をなかなか多く持っているようだな』
「いくつかは獲得していますね」
『その権限を集めよ。そなたの位階は2だな? その更に上を目指すが良い。それとだ、そんなに畏ることはないぞ。戦う気ならば態度がどうあれ戦うのだからな』
「……はぁ、そういうことなら遠慮なく。じゃあ戦う気で来たわけじゃないんですね。よかったー」
戦う気がないというなら話をしに来たのかもしれない。それに畏る必要はないと言うし気が抜けてしまった。そういえば『無礼講』と言いつつ実際はそうじゃないなんて話も聞くが……だがなんとなく目の前の巨大な蛇、イルルさんでいいか、イルルさんはそんなこと気にしないデカい人な気がする。人ではないか、デカい蛇だな。
『はっはっは! 我が戦えば人界層が壊れかねんのでな。一応は神の一柱として顕現しておるからの』
「ところで高位の層とは?」
『そのままの意味だぞ? 既に足を踏み入れておろう?』
「そうなんですかね……俺には区別が付いてなくて。それにしても神ですか。それってイルルさんは本物の神様ってことなんですか?」
『そうとも言えるしそうでないとも言えるな。世界中には様々な神がおろう? その多くがダンジョンにおるぞ。しかしその神という存在がどういった経緯で顕現したかというと……おっと、ひとつだけと言ったのにそれ以上に答えてしまったな。耄碌したかのぉ』
「教えてくれてもいいじゃないですかー」
『そうしてやりたいのは山々なんだがの、自ら決めたルールを破ってはならないのだよ』
「そういうものですか。でも貴重な話を聞けました。ありがとうございます」
『我も楽しいひと時であったぞ。願わくばまた話をしたいものだ』
「こちらこそ。次に会った時はまた教えてくださいね」
『そなたがもっと面白くなれば答えてやろう。では、励めよ』
暴風かと錯覚するほどのエッセンスの奔流が巻き起こり、それがすぐに収まると龍神イルルヤンカシュの姿も消えていた。
(うわー。あれが神なのか。最後のあれ、転移だよな?)
ーー ワタシがマスターの能力を利用して使用しているものとは方法が違いますが、転移の一種かと。それにしてもエッセンス量がすごかったですね。もったいないので少し腕輪に吸収しておきました ーー
(わぉ、エアリスちゃっかりしてるなー)
ーー しっかり者と言ってください。それにそのエッセンスが何かの役に立つかもしれませんので ーー
(ほほー。神のエッセンスなわけだしな。期待せざるを得ない)
ーー それにしても、本当に何をしに来たのかわからない老人でしたね ーー
(龍神な。俺を見てみたくてって言ってたから今朝のテレビでもみたんじゃねーの)
ーー そんなまさか……まさか ーー
(まさかな話だけど実際そうだったら親近感わくよな。言うてあの情報からっていうより『面白そうな気配』って言ってたよな。20層か21層に行ったことで知られたってことなら、そこがここよりも高位の層ってことか)
ーー ここのことを人界層と言っていましたし、それで間違いないかと ーー
充分気が抜けたと思っていたがどうやらそうでもなかったようだ。脚の力が抜けその場に座り込んでしまう。
(それにしても……死ぬかと思った)
ーー はい。もしもの場合はワタシがマスターの身体を無理矢理ジャックしてでもなんとかするつもりでした ーー
(ははは……そうしたとして、勝てるか?)
ーー いいえ。全力で逃げても逃走できる確率は1%に満たないかと ーー
(ま、そうだよな。そうだと思ってた)
龍神という未知の存在を前にした緊張が解けた反動もありゆるい会話をしている二人だが、この先どこかで再び相見えた時、敵としてだったらどうしよう、そんな不安を拭い去ることはできなかった。
一方龍神・イルルヤンカシュ、無限に広がる空間に浮かぶ住処、天井が無く床面だけが平らな石材になっている場所に寝そべり、つい今し方会話を楽しんだ相手を想う。
『あの者の質問に答えてやりたかったのぉ。だが謎を自ら探究し知るのも良かろうて。それも一興だ。それに『イルルさん』か…ふふふ…ふははは……』
自らの住処でそうつぶやき、人間の青年に期待をしてしまう自分に自然と笑いが込み上げる龍神イルルヤンカシュは記憶にある嵐神との戦いに思いを馳せる。また暴れたいものだ、と。
期せずして龍神などという存在との邂逅を果たした俺たちは、2層で支配者権限を持つモンスターを探している。ここの構造はエアリスの完璧なマッピングによりほぼ完成しており、エアリスナビにより迷うこともモンスターに不意を突かれることもない。
(それにしても、虫しかいないっていうのがなー)
ーー 以前より種類が増えていますね。一部崩された壁があり、そこでハサミムシがコロニーを形成しているようですね ーー
(あれハサミムシかー。子供の頃によく見たなぁ。湿った土のところにある石とかを退けるとその下にいたりするんだよな。丸いハサミが雌でそうじゃないのが雄だっけ。まぁどうでもいいな。つかここの虫相変わらずでけーよ)
ーー そういった場所に巣食うような虫が増えているようですね ーー
(地上の季節によってモンスターの種類が変わってたりすんのかねー。もしそうなら冬とか何がいるんだ? ミノムシか? ワスプアントみたいに進化なんてしたら蛾が出て来そうだな……)
ーー どうでしょうね。しかし可能性としては大いに有るかと ーー
(ハサミムシって比較的嫌悪感の少ない虫だったけど、このでかさはな……あのハサミで挟まれたら胴体真っ二つにされそう)
正直なところあまり近付きたくはないので【真言】で全て処理していきたいのだが、マグナ・ダンジョンへ遠征に行った際のエッセンスの消費が多かったためできるだけ温存するために銀刀を使用している。
俺の使い方としては主に居合だ。むしろ時代劇のような殺陣(タテ)などは習ったことがないので格好良い立ち回りなんてものとは無縁なのだ。実のところ居合も子供の頃に近所の道場に通って少し教えてもらった程度なのだが。
そもそも居合に興味を持ったのは、昔人気を博した、明治維新を舞台にした侍漫画だ。その主人公の最終奥義と言えるものが『天龍(テンリュウ)ノ翔閃(ショウセン)』という居合斬りだったのだ。それに憧れて近所の道場にこんなのがしてみたい!といってお願いしたのだ。今思えばなぜそれに限って熱を上げていたのか謎だが。
ちなみにそこの師範は近所に住んでいる人の良いおじさんで、『友達を傷つけないなら』という条件で教えてもらった。友達は少なかったので即答できた。いや、多かったとしても即答したさ。もちろんな。だからその質問は数の問題ではなくて、俺の意志に問いかけて来たということだ。
道場で真剣を持たせてもらったのは2度。1度目の時は藁の案山子を斬りつけても『ボスンッ』という音がするだけで全く斬った感触はなかった。しかししばらく通ってからの2度目は初撃で案山子の中ほどまで斬り、返しの袈裟斬りで同じところを狙い両断することができた。それからしばらく通っていたが、部活やら進学やらバイトで忙しくなり行かなくなってしまった。そういえばおじさんはどこか他の県の道場で修行をしてたと聞いたが……
ーー マスター、銀刀の調子はいかがですか? ーー
というエアリスからの質問により記憶の海から引き上げられる。
銀刀について今のところ不満はないし、巨大になり硬くなっているであろう虫の甲殻も易々と斬り裂くことができる。それに刃こぼれもなく継戦能力も問題ない。
ーー それは良かったです。ところでマスター、支配者が発生しました ーー
(おっ! やっと見つかったか! ……ん? 発生?)
ーー はい。発生しました。マスターが2層の支配者となりました ーー
御影悠人(ミカゲユウト)
Grade 2
STR 100
DEX 110
AGI 110
INT 100
MND 120
VIT 120
LUC 124
CHA 30
能力:
真言 (ユニーク+)
権限
支配者 No. 2 No. 5 No. 6 No. 15 No.19 No. 20
スマホの画面に映し出された俺のステータスには支配者No. 2が追加されていた。これまではその層の支配者を倒すことでその権限を奪った形になっていたが、今回はそれとは違うようだった。
ーー 2層ではモンスター同士の力にそれほどの差異がなく、支配できるほど圧倒的な存在がいなかったことにより支配者モンスターが存在していなかったようです。よってマスターが支配者として認められたということかと ーー
(んー? まるでモンスター扱いだな。でも今までだってそんなもんだったじゃん? なんで今更?)
ーー 人類の企業を当て嵌めれば、無名の新人がたまたま成果を上げてもその評価は結果に結びつきにくいものですが、ある程度の実績を伴った者が成果を上げることで高評価となり結果も伴う、というものと似ているかと ーー
(ふむー。それじゃ俺はやっと新人から中堅くらいにはなってたってことかな。中堅モンスターかな?)
ーー そう考えていただいて問題ないかと。おそらく他の支配者権限が評価対象のひとつとしてあるのかもしれません ーー
(履歴書に書かれてる経歴がすごいってだけで何もしなくても良いポジションにつけたりするやつに似てるな。そう考えるとなんだかイライラしてくる)
ーー そうですね。そのイライラをぶつける相手に困らないのがダンジョンでもあるので、ガンガンいこうぜ、で問題ありません。サポートはお任せください ーー
(おっけー。じゃあ次の3層から先もガンガンいっちゃいますか!)
数時間掛けその後の3層、4層と無事に支配者権限を取得していく。5と6はすでに獲得しているのでスルーして7、8に発生していた支配者モンスターを倒し虹星石と共に手に入れる。そして9層。
(ここの支配者権限を手に入れたら今日は帰ろうか。ちょうど19層までのうちの10個目だし)
ーー はい。20層の支配者権限も含めれば11個目となりますが、20層は個別のダンジョンではないですからね ーー
(そそ。ひとまとめにするとしたら、1〜19とそれ以降って気がするんだよな。龍神もそれっぽいこと言ってたしな)
9層の中では大きい広間へ入った途端、目の前に赤黒いエッセンスが渦を巻く。それが霧散したとき、そこにいたのは『俺』だった。
『ミカゲユウト……試練ヲ開始スル』
俺と同じ顔同じ声、しかしどこかぎこちない言葉を発するそれは姿勢を低く、腰に差した刀に手を掛ける。いつでも居合ができる格好から動かない。
「ちょっと待ってくれ。試練ってなんだ?」
『答エルコトハ出来ナイ』
そう言うなり刀を抜きながら間合いを詰めてくる。たったの一歩ですでに目の前まで詰め、その刀を抜き放つ。指輪に付与された不可侵の壁が発動し、刃がその表面を滑るように斜め上へと振り抜かれる。俺はそのまま後ろへ下り、着地と同時に姿勢を低くし、居合の構えを取った。
(あぶなっ。いきなりなにすんだよ殺す気か!? ……そりゃ殺す気か。あれってステータスは俺と同じかそれ以上?)
ーー カミノミツカイを倒した時のマスターと同程度です。しかし能力も同じと仮定するならば…… ーー
(使われる前に使うしかないよな!)
ーー では効果があるかどうかの確認も兼ね浮かせてみましょう ーー
「『浮き上がれ』」
しかしなにも変わった様子はない。
『ナンノツモリダ?』
【真言】は不発に終わり、直接的なものは効果がないであろうことが判明する。しかし目の前の『俺』は能力を使う様子もない。
(効かないか。けど使えもしないのか?)
ーー そうかもしれません。しかし【拒絶する不可侵の壁】は効果がありましたので問題ありません。マスターのステータスをあの偽物より上位になるよう調整します。……完了しました ーー
『俺』はまたも居合の構えから容赦なく斬りかかってくる。しかしエアリスによりステータスの調整が完了した今、それに押し負けることはない。
(よし、決める)
低い姿勢から地面を抉るほどの踏み込みで肉薄し刀を抜き放つ。その刃は『俺』の刀に止められるも、接触の瞬間に左足を踏み込む。それにより更に加速しステータスの差もあることによって刀ごと吹き飛ばす。吹き飛んだ『俺』は地面を転がりそのまま居合の構えを取ろうとするが、俺はすでに眼前まで迫っていた。
「ッッ!!!」
息を止め振り下ろした二の太刀に対処が間に合わず『俺』は肩口から袈裟斬りにされる。しかし斬り口から血が流れることもなく、佇んでいる。
『……見事』
たった一言、『見事』と言い残し、『俺』は俺の腕輪に吸収される。その量は膨大で、階層の支配者やユニークはもとよりカミノミツカイよりも多く、濃いものだった。それが消え去った後には、拳ほどもある大きな虹星石が落ちており、手で触れると意思があるかのように自ら腕輪に吸収されていった。
(う〜ん。わけわからん)
ーー 虹星石を一部解析しました。どうやら今の相手、『影』とでも申しましょうか、それは【真言】を使うこともできたようです ーー
(ん? 俺のコピーってことか? ドッペル? ってかそれならなんで使わなかったんだろう)
ーー マスターに対し、【真言】が効かないことを知っていたのではないでしょうか。もしくは能力は持っていても使い方を知らなかったのかと ーー
(ふむふむなるほど。ってか俺に効かないとか俺も初耳なんだけど? それに自分を浮かせられるから翼で飛べるんだろう?)
ーー それについては、自分が自分にその意思をもって行使する場合は許可されたものと見なされるからではないでしょうか ーー
(ってことは……)
「見様見真似『パワーレイズ』」
試しに言ってみた悠里の能力『魔法少女』で行使できる補助魔法。それのイメージは身体能力向上だ。
(お、おぉ! なんか漲ってくる!)
ーー おめでとうございます。明確なイメージさえあればバフもできるようですね ーー
(バフか。そうだなー。懐かしいなその言葉。ゲームじゃプラスに働く補助効果をそう言ってたな)
ーー ワタシもマスターの記憶から造られただけありますね! ーー
(ってことは、相手にマイナス効果を付けるデバフもいけるんじゃね? あっ、でもさっきのやつとかカミノミツカイとかには効かないか。直接的なものは効果がなかったもんな)
ーー ところで先ほどの影のエッセンス、および虹星石が手に入ったこと及び支配者権限の介入により【真言】を強化できるようですがいかがしますか? ーー
(支配者権限が介入? よくわからんけど、もちろんします!)
ーー では少々お時間がかかる見込みですので、おやすみの間に済ませておきます ーー
(ほいほい、よろしくたのーむ)
ーー それにしてもマスター、人間と同じ姿、それもご自分と同じ者を相手に情けも容赦もありませんでしたね ーー
(うん? だって俺はここにいるし、同じ顔しててダンジョンにいるなんて明らかにおかしいだろ? むしろ自分の顔で出てきてくれたから尚更迷う意味なんてなかったよ)
ーー では仮にあれが悠里様や香織様のお姿で現れたらどうだったのでしょう? ーー
(それはー、さすがに迷うなー……)
ーー で、では夢の中のワタシの顔ではどうでしょうか!? ーー
(斬る)
ーー ヨヨヨ……ひどいですマスター……ヨヨヨヨ… ーー
(エアリスは俺に何も言わずにそんなことしないからな。するやつは悪意のある敵だろ)
ーー ッ!! そうですそうです! 本物のエアリスはマスターをおやすみ中に襲うことはあってもダンジョンで襲うことなんてありません! ーー
(……さいですか。そんじゃ、帰ろっか)
「『転移』」
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