あたし達は踊り続けるのよ!

さて妖女の家に行くことになった一行であったが、サツマイモは歩くのがおぼつかない。


しかしそれは、カモノハシがすぐに解決した。


「俺のスケボー、折りたたみ式なんだ。」と言って、乗っていたスケートボードをパカッと開いた。


折りたたみ式のスケートボードを開くと、片側にもう1人乗れる仕様となっている。


「な! こうすればお前こっち側に乗れるだろ。さ、乗りな。」


妖女はカモノハシのそのに感銘を受けたようで、


「カモノハシ! あなたのその素敵だわ。そうよ、そんな風にダンスステップを踏むの。踊るの。あたし達は踊り続けるのよ!」と言った。


相変わらず、言っていることが意味不明である。



さて、その妖女の家であるが、ユーフル地方にあるわけではなく例のストーンサークルの側にあるというのだ。


「ストーンサークルの側? あんな寂しいところに住んでいるのか?」と〈幼女〉朝顔は聞いた。


「寂しいなんてことはないわ。夜になるとカボチャ頭達が騒いでいるし。」


カボチャ頭は夜になると、ストーンサークルに祈りを捧げに来る。


「それ、もっとイヤじゃないか!」


「でも、あの子達そんなに悪い子達じゃないのよ。昼間はちゃんと働いているし。」


「カボチャ頭は働いているのか!」


朝顔は率直に驚いた。


妖魔が働いているというのは、いったいどういうことなのだ? と彼女は思った。


そういえば、さっきのカボチャ頭も王国の兵士をしていたな。しかし待てよ、となりにいた兵士にはカボチャ頭が見えていなかったじゃないか。


謎は深まるばかりである。


朝顔はその件を妖女に話すと、


「カボチャ頭が兵士をしているなんて聞いたことがないわね......。だけどこう考えることはできないかしら? となりにいた兵士の方も怪しいって。見えていたのに見えていないふりしたとか......。」


見えていたのに見えていないふりか......。朝顔は頭を悩ました。

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