第3話 幕間:告白
夕暮れの教室で、少女が少年を見つめる。
少年は、緊張からか両手を強く握り、少女をチラと見た後、下を向く。
それでも意を決したのか、真っ直ぐ前を向いてその言葉を告げる。
「ーー尾張さんの姿をずっと見つめていました。あの時、シャーペンを拾ってもらった時からーー声をかけてくれた時からずっと。・・・・・・尾張さんが誰かと話しているだけで、胸が締めつけられるように痛むんです。ーー尾張さんが好きです。付き合ってください」
その言葉を聞いた少女は、困ったような顔をすると、一度目を伏せる。
そして、言葉を決めたのか真っ直ぐ少年を見つめて告げる。
「ごめんなさい。あなたとは付き合えないわ。あなたのその気持ちは多分ーー私、あなたに恋愛感情を抱いたことは一度もないの。ーーそれに私、好きな人がいるから」
少年はその言葉に顔を伏せる。その顔は影になり少女には見えない。
「それじゃあ、もう行くわね」
少女は、黙ったまま下を向いている少年に見切りをつけると、鞄を持ち教室を後にする。教室には、一人の少年のみが残された。
少年は、緊張で硬く握りしめていた拳をゆっくり開くと、もう一度ギュッと握る。その顔には、ほの暗い感情がふつふつと湧きだしていた。
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