第60話 新しい住人と中年


 三十一層。

 トロール狩りをしてトロールの涙を10個取ることができた。フォート・トロール はあれ以降出てこない。


次の層への階段を見つけたので三十二層へ。


 だが、今度はスケルトン ランクEだった。


 骨と魔石しか落とさないので素早く三十三階層へ。

 今度はスライム、三十一層がランクBなのにそこから下はランクE。


「おかしくないか? トロールがBなのに、そのあとの二層がランクE」


「トロールにPを注ぎ込んでしまったとか?」

 とスライムを斬りながら進む。


 三十四階層。

 ここにはモンスターすら居ない、トラップのみだ。


 三十五階層。


 扉がありボス部屋らしい。


 扉を開けると中には幼女?


 椅子から立ち上がると、

「わ、わらわのダンジョンをよ、よく、せいはした、……さあ殺すがよい」


 そんな震えて言われてもなぁ。

 しかし殺風景なとこだな、ダンジョンの壁にやけに豪華な椅子だけ。


 いつものようにしゃがんで声をかける。

「俺は千社、君は?」


「わ、わらわは吸血鬼のミリアじゃ」


「そうか、ミリアはなんでここにいるの?」


「そ、それはコアの偉大なる守護者だからに決まっておろう」

 ない胸を張っているが足がガクガクしている。


「ここが最下層か、じゃあ休憩しよっか?」


「「「「うぃ」」」」

 みんな、椅子やテーブルを用意する。


「な、なんじゃ! 殺すならはよ殺せばいいじゃろ!」


「こんな可愛い子を殺せるわけないだろ? ずんだ餅食べるか?」

 倉庫からずんだ餅を出して渡す。


「か、可愛いなんて」


「ほれ、美味いぞ」

 一個食べて見せると、


「あむ、あむ、あむ、あむ、あむ、……」

 そんな口いっぱいに頬張って食べなくても。


「美味いな! で? お前達は何をしにきたのじゃ?」

 俺達と一緒に椅子に座って、足をブラブラさせている。見た目通りの年齢なのかな?


「俺らはダンジョンコアと守護者? って言うのか? まぁ、それを見にきた。

 害が無ければそのままにして置くためにな」


 真面目な顔して幼女がこちらをみてくる。


「お主、わらわの番になれ」


「「「「「ブッ!」」」」」


「な、なにをいきなり言いだすんだ」

 

「わらわはそちを気に入った、ここにひとりはもういやじゃ!」


 泣きそうな声で話すと抱きついてきた。


 あーあ、ずんだが服にべっとり。


 でも守護者はここから出られないのか?


「ここから出る方法はないのか?」


「コアが認めたものがコアの守護者になる、それ以外の方法はない」


「コアを見てもいいか?」


 手を引っ張られコアの前に行く。前と違って真っ赤なコアだった。


 手で触れてみる、


『アナタガアタラシキシュゴシャデスカ?』


「いいや違う、が守護者は居なくてはいけないのか?」


『コアを守る役目があるため守護者は必要です』


 やはり同じなのか?

「お前いま俺の魔力から言語をロードしただろ?」


『はい、わたし以外のコアとの接触がありますか?』


「あぁ、異次元ハウスという所にお前とは違うコアがいる。元はダンジョンコアだ、身体の構築はできるか?」


『魔力をダンジョンで使用しているため無駄は省いています』


「そうか、なら俺の魔力を使うといい、身体を構築出来るか? それともデータが必要か?」


『了解しました、データを読み取り身体の構築を始めます』


 コアから光が湧き出て、カズトを包み込みデータを読み取る。


 そして一際光ると、

 そこには黒髪で前髪が切り揃えられており腰まである長髪、肌は白く細いが紅い目が映える。


「どうだ、自分で動けるだろう」

 結構魔力を持っていったな。


「はい、でもなぜこのような事を?」


「そんだけ動ければ守護者なんか要らないんじゃないか?」


「このダンジョンはコアと守護者がいなければいけません。」


「んじゃ夜入ってくる冒険者はいないだろ? 夜だけウチに来るか?」

 と扉を出す。


 扉を開けると、ハウスがちゃんと見えるので問題ないだろう。


「なんじゃ、これは?」


「俺たちの家だよ」

 と俺は先に入ってアンコを呼ぶ。


 走ってきたアンコは怪訝な顔をして、


「女ですか?」

 誰の入れ知恵だ?


「宮城ダンジョンのコアと守護者だ、入れるか?」


「それくらい出来ますよーだ」

 と認証してくれたので、ミリアとコアを内側に呼ぶ。守護者も問題ないようだな。


「フアァァァァォ」

 ミリアはなんて声だすんだよ。


「これが、世界?」

 コアは震えてるな。


「ダンジョンなんて半自動だろ? なら必要な時だけ戻ればいいよ」


「ここにいてもいいのか?」


「いくらでもいればいい、そのかわりちゃんとダンジョンの仕事はしろよ」


 コアは黒髪だったので羊羹からヨウカと名付けた。


「んじゃアンコ、こいつらの家を作ってやってくれよ」


「いや!」

 んー、いつもは聞いてくれるんだが。


「そうだ、この前のバチェラーフィギュア10個でどうだ?」


「……15個」

 物で釣ってしまったが、今度アンコと話をしてみるか。


「よし決まりだ、お父さんに区画を割り当ててもらって、そこに家を建てよう」


 せっかくだし北海道ダンジョンの雪菜達も呼ぼう。

 北海道ダンジョンのコアにも同じ事をしたら、白髪の中学生くらいの女の子になって、雪菜達と三姉妹のようになった。


 扉を設置してハウスに招く、ミリア達の家はもう出来ていて、中に入るとミリアはソファーに寝転んでいた。


「どうだ居心地は?」

 と横に座ると、ミリアは座り直して、


「あんなダンジョンよりよっぽどいいぞ!」


「でもちゃんと仕事はしろよ、でないとダンジョンが無くなっても知らないからな」


「そこは約束だ、運営はヨウカと2人でちゃんとやっていく」


「ならいい、しかしなんで三十一層があんなに強かったんだ?」


「あそこににPをかけ過ぎてしまったんじゃ、よもやあそこを通るものがいるとは思わなんだ」


「そーいうことか、まーこれからはちゃんとポイントも計算してやれよ」


「分かったのじゃ」

 普通に素直ないい子なんだよな。


「あと、欲しいものあったら言えよ、ある程度は揃ってると思うけど」


「アンコに聞いた戦国バチェラーと言うものがしてみたい」

 戦国バチェラーを布教してるのか?


「何個も要らないからアンコに借りろ」

 


 今度は雪菜達の家にきた。

「雪菜さん、セッチャンどうだい?」


「最高です、このハウスはとても居心地が良くて、ありがとうございます」


「フクも慣れそうか?」

 北海道ダンジョンのコアは大福からとってフクと名付けた。


「名前には慣れそうも有りませんが、ここを拠点にダンジョンに通うのもいいと思います」


「お兄ちゃん、私もすっっっごーい気に入ったよ」

 セッチャンも気に入ったようだ。


「そっかぁ、なら良かった。

 ほいずんだ餅だ、美味しいから食べな。

 喉に詰まらせないようにな」


「ありがとー!」

 と急に住人が5人も増えてしまった。

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