第58話 繋がりと中年
合流した俺たちは、買出しをしたものを、分けてアイテムボックスに収納。
実験をするらしいモッチーのラボに来ている。
「モッチーできそうなのか?」
話を聞いたが、出来るものなのか?
「やってみないと分からないよ、でも地球とハウスを繋げるのは扉だけだからね。
アンコちゃんには悪いけど、一回分解して他の物と融合できれば、ハウスでも情報収集が出来るからね」
と色んな部品を取り出し並べて行く。
「3人で古い家だけど一軒家を買ったんだ。ようやくいろいろと終わったんだよ。そこに四ヶ所、テレビコンセント端子を取り付けてもらったんだよね」
「いつ家なんか買ったんだ? なんで?」
「北海道ダンジョン辺りかな。カズトさんとこは賃貸だから無茶はできないでしょ? なら無茶できるところを作るのが得策。どーせ、あっちはどーでもいいからすげーボロいけどね」
と笑うモッチー、
「結構かかっただろ?」
「3人でだしたからそんなでもないよ、ダンジョンで儲けてるしね」
道具を手で弄びながら話す。
「で、俺の考えで一番いいのは一個の端子が二個になること。
これは同じ存在が2つあれば扉が無くてもハウスで使える。
てか一番しか考えない、どう考えても一番がベストだから」
真剣な顔で扉と部品に手を当て、
『分解融合』
光が溢れておさまると、二個の部品がそこにあった。
「とりあえずはできた。けど喜ぶのは試験してからやね」
モッチーはラボから出て別の扉へ、一緒に入って行くと木造のボロい二階建ての家だった。
「ボロいでしょ? これでも全部で一千万ちょいしたんだけどね」
モッチーの部屋らしき場所に来て、
「とりあえず四ヶ所増やしてもらうのは出来たよ、変な顔されたけどね。
光回線は無理言ってやってもらった。
複数回線やるとこはあるらしいけどこのボロい一軒家だしね」
笑いながら話すけど、暇を見つけてやってたんだろうな。
「でこっから、とりあえず一個作ったからこれを取り付けて」
「慣れたもんだな」
「取り付け作業を見てたからね、すげぇ嫌な顔されたけど、それから1人でちょい練習してたしっと完了」
剥き出しだが完了?
「試験だからね」
とまたハウスに戻り、自分の部屋に、
「アンコちゃん、これをここに埋め込んで欲しいんだけどいい?」
「分かった」
アンコが受け取り、モッチーの説明を聞きながら埋め込んでいく。
「よしっ、んじゃテレビの配線付けて、ポチっとな!」
テレビでニュースをやっている。
「よし! だーいせーいこーう! これでアンコちゃんもテレビ見れるよ!」
「やったぁ!」
2人で手を取り合ってぴょんぴょん飛び跳ねている。
「んじゃこの調子でネットもやってみるかな」
ん? ネット?
「カズトさんのスマホは特別でしょ? リンリンと繋がってるし」
よく見たら圏外だった。
「みたいだな。ってリンリン?」
なんでリンリンの事を? 俺のスマホも。
「まぁ、見てたら分かるよ。大丈夫、誰にも言ってないしね。
それは置いといて、ネットもこっちで使えたらWi-FiでPCもスマホも使えるかと」
「お前凄えな! 役に立たない固有スキルかと思ってたよ」
「日々これ進歩、舐めんなよ!」
「おう! ありがとな!」
照れたのかすぐラボに戻っていった。
ネットも問題なく繋がり4人の家にネットとテレビが使えるようになった。
「今日まで、休みにしなくても」
別に毎日ダンジョンに行くこともないだろ。
「いいじゃんリフォームだよ、私DIY好きなんだよね!」
と美羽は張り切っている。
とりあえず中を綺麗にしないと、畳は腐ってるわ、壁紙はヤニかなんかで黄色く変色しているわで、なかなかの大仕事だ。
「やってるかね? ご無沙汰だね」
と林さんが大勢連れて来た。
「林さんお久しぶりです。この度はどうも」
信頼出来るリフォーム会社を聞いたのだが、林さんが知り合いを集めてやってくれると申し出てくれて、甘えることになった。
「いい、いい、頼ってくれて私は嬉しいんだよ。
コイツらは年はいってるが、元々大工にペンキ屋にとその道にいた奴らだ。
最近暇みたいだからこき使ってくれ!」
「よろしくお願いします!」
と頭を下げると、
「チャラそうな兄ちゃんなのにしっかりしとる」
「だな! 林が気にいるのも分かるわな」
「私があった時は、髪がこーんなで根暗なのかと思ったが、亡くなった犬に手を合わせて謝る姿が焼き付いてのぉ」
とおっさん達が涙ぐんできたので、
「すいません、それでは皆さん一度上がって貰って、それからリフォームの話をしましょう」
と中に促す、リビングというか畳の部屋で間取り図を見ながら話を進める。
「ここは外側もだいぶ傷んでるがどうするつもりだ?」
「とりあえず中からと思いまして」
「そらいかん、外もキチンと直してやりゃな持たんぞ」
「んだ、瓦もみたが随分くたびれてたから取っ替えた方がいいな」
「なに、中古やら伝手があるから金はそんなかからんよ! それにお前ら一流の冒険者だろ?」
「一流?」
「おぅ、斎藤っていたろ? あいつが言ってたがモンスター化した犬は、そこらの冒険者じゃ太刀打ち出来ないらしいじゃないか。
窓から見てたが一刀で苦しませずに逝かせてくれたんだろ? お前が一流じゃなかったら他の奴等がかわいそうだ」
うーん、あん時は犬が可哀想だったからなぁ。
「ってことで、ある程度決まったらお前らダンジョンにでもいって稼いでこいや!」
「んだ、資材の手配も俺らの仕事だ。久しぶりに仕事するからワクワクすんぜ」
「オメェの腕が鈍ってないかちゃんと見てやっから心配すんなや」
と爺さん達は笑いながら話している。
ある程度方向性も決まり、異次元ドアは俺の家に緊急避難させ、異次元回線は傷付けたりしないようにお願いしたが、
「こんなにあってどーすんだ? まぁお前らもやる事あんだろうからちゃんとやるけどよ」
と言ってくれた。
昼過ぎには三月 奈菜さんと誠くんも来てくれて、掃除を手伝ってくれた。
俺の変わりようにビックリしていたが、誠くんがカッコいいと言ってくれたのでヨシとしよう!
一日に一回は来ると約束して今日はお開き。
林さんも元気になったみたいで、奥さんも来たがったが男の仕事場に来るなと言って置いてきたらしい。
なのでこちらから土産でも持って行こうと思う。
こんな所であの時の縁が繋がり、嬉しい気持ちでいっぱいだ。
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