第五章 守護者とコアと中年冒険者

第52話 久しぶりの中年

 久しぶりに宮城ダンジョン。

 休んで、ちょっとゆっくりしていた。


 ギルドに顔を出すと横川さんが泣きながら、


「怒らせたからもう来てくれないかと思いましたー」

 としがみついてきた。


 そんな事でこなくなる事は、


「この前はごめんなさい、許してください」


 と横川さんの姪、咲夜だったかな? が出てきた。

 はぁ、こいつはめんどい。


「許すから頑張れよ」

 と言うと、


「あ、あのパーティーに入れてもらうのは「「「「無理!」」」」っえ!」


「おい、お前ら……」


「絶対無理! 兄ちゃん怒らせるような奴は無理!」


「兄さん優しいのに怒らせるとかあり得ないから」


「僕でもその辺はわきまえて行動するし!」


 モッチーが咲夜ちゃんの前にきて顔をあわせると、


「カズトさんは優しい、理由もなく怒るような人じゃない。

 君はその人を初対面で怒らせた、で女の子にこんな事は失礼なんだけど、本当に俺らについてこれると思ってるの? 仲間を守るのは絶対だけど信頼があってこそだよ。

 ちょっと助けてもらっただけで信頼関係の構築はできるのかな?」


 コイツらにしては結構怒ってるな。

 モッチーなんか長台詞凄えな、俺そんなに怒ってたっけ? ……怒ってたな。


 横川さんと姪の咲夜ちゃんは物凄い謝って奥に消えていった。


 次会うのが気まずよ。


 なんかモヤモヤするけど、まあいっか!


「んじゃ、色々あったけど行きますかね」


「「「「うい!」」」」


 二十一層、黒胴長豚さんは三頭倒して肉ゲット!


 階段横に宝箱が有り、開けるとなんと肉切り包丁が! しかも無駄にミスリル製、大事に使わせて頂きます。


 二十二層、なんか集落がある。


 人が要るわけないな。


 賢人が偵察に行って帰ってきたら、ノセがいっぱいとの事、……オークか。


「今オークって思いましたよね? 僕結構痩せたんですよ!」


「……オークか」


「声に出てる? あぁ俺の鼻は上を向いてないのにあんまりだ……」


「ジョーダンだって! んじゃノセに潜入してきてもらうか? 中から崩せるだろ?」


「スパイですね! ってバレるから!」


 とノセをおちょくっていたが櫓から矢が飛んできた!


「ノセが攻撃してきた! ノセ! 白旗降ってこい!」


「だからオークじゃないって! もぉー」

 と冗談はやめて、魔法でも撃って、逃げてくれれば良いけどな。


「ウォーターアロー×30」

 集落に水の矢が降ると集落がバタバタし出した。


 あらら、大勢出てきた、けど女子供は後ろから逃げてるな、ならいいか。


「んじゃやりますか?」


「あいよ! 水でいい?」


「水ならそこまで被害はないでしょ」

 と言うわけで、


 モッチーがウォータースパイラルをオークの群れに放つ!


 なんかでかいのが3匹いるな。


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

オークリーダー ランクD

レベル35

オークの進化個体、オークをまとめ群れを作る、雄が多く別種の雌で子孫を増やす。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「女の敵だぞ! ゲームと一緒だ! 別種の雌と子供作るって」


「「「「なにー! 殲滅だぁ!」」」」


 気合い入ってるな! 


「突撃ー!」


「「「「オォオォォォォ‼︎」」」」

 俺は後ろで見学しとくか……


 なかなかオークリーダー強いなぁ、まぁアイツラの敵ではないけどな。


「この豚共がぁー!」


「犯罪だぁ! 天誅!」


「オークのメスか1人遊びで我慢しとけぇ!」

 うーむ、醜い戦いだな。


 戦闘が終わり、

「お疲れ様、中に人とか居なかった?」


「カズトさん、いたらヤバイでしょ」

「そりゃそだな。でも氾濫して外にこいつらがでたら覚悟しなきゃいけないんだろうな……」


「兄ちゃん、それは最悪の場合でしょ? それよりここに住んでたみたいだね」

 オークはここで生きてるのか? でも倒すと魔石になる。 作られた存在になるんだよな……


「まぁ、魔法も水系しか使わなかったから、また集まるだろ?」


「んで、中にはオーク以外は居なかったよ、硬貨とスキルスクロールがあったわ」

 とスキルスクロールを渡してくる、


「おぉ、解析! ……鍛治だな」


「やっぱノセだな」

 賢人、鍛治=ノセではない。


「まー倉庫の肥やしだね、でもスキルスクロール出てくるね」

 誰でも使えるスキルスクロールは集めといて損はないからな。


「だな、まぁ、ゆっくり探すかね」


 二十三層。


「なんか飛んでるねぇ」

 鳥のようだが?


「ハーピーだ!!」


 馬鹿三人がはしゃぎ出した。

「「「オッパイ! オッパイ!」」」


 後ろで喜んでるが、遠見で見たら顔は人間みたいだが可愛くなくて、身体は鳥人間、胸はあるけど……足とかグロいな。


 こいつら気付いてないな、あ、賢人が気付いた。


「よし!お前ら頑張ってこい」


「「イエッサァー」」

「ほーい」

 と賢人以外が嬉しそうに走っていったが、


「乳のある鳥じゃねーか!」

「てめえら皆殺しにしてやる!」

「俺の妄想をかえせぇぇぇ!」

「突くんじゃねぇ! 餌じゃねえぞ!」

「思ったよりキメェ! うらぁぁ!」


 と現実を直視し、殺意が芽生えたらしい。


「兄さん、分かってたなら言ってくださいよ」

 と終わってからボブが言ってくる。


「女性の多い合コンなんて羨ましい」

と賢人が言うと、


「俺らが食い物でキイキイ鳴くだけの女性でしたからね!」


「二次会はなしかぁ、残念だったね!」


「普通の女の子がいいー!」


「あ、横川さんの姪「可愛いけどあれは無い」……さいですか」

 と遊びながら次の階層へ。


 二十四層、また女の子?


「今度こそ合コン?」


「下半身が蛇じゃなかったらね!」


 と4人は暴れ回る。

 哺乳類の女の子は出てこないらしい。


 二十五層、ボス部屋、今度も女の子。


 ……でも脚が多い。


「安産型だね」


「もうやだ……」


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

アラクネ ランクC

レベル60

粘着性の糸を使い獲物を捕まえて体液を吸う、産卵期は敏感になっている。

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「アラクネランクC、レベル60、敏感らしい」


「何情報? 要らんし、てかどうせ糸に注意でしょ!」

 賢人はやさぐれている。


「てかデカイな、乳も!」

 六個の乳が!


「もういい! 行くぞ!」

 あ、モッチーが怒っていっちゃった。


 動きが速くてなかなか魔法を当てづらいみたい、賢人も苦戦してますなぁ。


 様子を見ていると連携が上手くいってない。


「モッチー火魔法、避ける方向考えて! ボブとノセは逃げた先で脚狙い!」

 と助言らしきものをしてみる。


 上手くいったようで脚を折られて機動力が落ちた、これで倒せるでしょ。


 辛勝って感じで帰って来た4人、


「はぁ、出来れば助言なしで勝ちたかった」


「まぁ勝てたからいいじゃん、ずんだ餅食べる?」


「……今食ったら吐く」

 ヒールをかけてやりダンジョンを出る。


 やっぱ外から見ると動きがバラバラだったなぁ。


「お前ら戦闘中に念話使ってる?」

「「「「…………」」」」


 全員無言になり、集まりだした。


 こいつら使ってなかったな……


 ドロップを確認すると、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

アラクネの魔晶石

鋼糸のリング

アラクネの剛殻

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 と宝箱、

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

スキルスクロール(粘糸)

魔鉄 インゴット×5

SPボール(中)

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 剛糸の指輪は賢人がもう着けてる。

 魔鉄のインゴットはギルドだなぁ。


 スキルスクロールは…………死蔵決定、粘糸って何に使うよ。


 んで今日はギルドに渡すもの渡して外でまったり。


 宮城ダンジョン近くの茶屋

「やっぱうんめぇな! ずんだ餅! お茶もうめぇ!」


「兄さんが甘党になったのは分かったんで、そろそろ牛タンとか食べに行きましょうよ?まだ宮城名物あるでしょう」


「だって肉って言ったら家畜層があんじゃん、あれより美味かったらいいけど」


「無理だと思うよ、まぁずんだ餅美味いし、いいんじゃない?」

 とモッチーはずんだ餅を口に放り込む。


「海産物食いたい、肉か甘味しか食ってないじゃん!」


「検索したらはらこ飯ってのが有りましたよ。イクラとシャケの丼っぽいですねー」


「しゃー! 今から行こう!」


「無理、もー入んない」


「え? どんだけ食ってんすか? 食い過ぎっすよ!」


 こーやって美味いもの巡りもいいもんだ、宮城でずんだ餅しか食べてないが。


「そろそろ三十だけどレベルは上げる?」


「だね、連携は念話で練習したら凄い良かったけど、まだ上げた方が良いかも」


「俺も思った、カズトさんが居なくても行けるようにならないとね」


「俺はまた今度でいいから、はらこ飯は、明日食ってこい」


「おし! 絶対明日ははらこ飯だ!」

ボブが漲っている。


「んじゃ明日は別行動しようか、そろそろ北海道も見に行きたいし、」


「りょーかい、こいつらの面倒は俺が見るよ、危ない事はさせないから」

 とモッチーも言ってくれた。


 んじゃ久しぶりに北海道ダンジョンいきますかねー!

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