プロローグ
閲覧していただきありがとうございます。
誤字脱字とう多々ございますが、読んでいただければ幸いです。
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深夜2時は過ぎただろうか。
駅前の信号にもかかわらず、人の姿は少なかった。
しかし補導されるとまずい。せっかく高校に上がったばかりなのだ。高校生活しょっぱなからつまずきたくはない。
顔を俯かせてフードを深くかぶり、周囲に目をはしらせる。
「挙動不審か。もっと堂々としてた方がバレねぇよ」
一緒に信号を待っていた
「それもそうか」
こいつは顔立ちがやけに整っているから、ただ立っているだけでも絵になる。同性の俺としては、隣に立つと女性の視線が横にずれていくのが少し気になるが···。
気付けば信号が青に変わっていた。さっさと帰ろう。
横断歩道に踏み出す。
「あ、おい。竜···」
「ん?」
後ろから呼ぶ心咲の声に振り返る視界の端に、まばゆい光が2つ迫っているのが見えた。
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突然目の前で起こった交通事故のショックに、帰宅途中だった若いサラリーマンは、一瞬思考が停止した。しかしすぐに立ち直ると、車にはね飛ばされて倒れた青年に慌てて駆け寄る。
「おい、だいじょ···」
「びっくりしたぁー」
青年はむくりと起き上がると、膝に手を付き立ち上がった。服は膝も袖もズタズタだったが、血は一滴も見当たらない。
「あれ、車は?」
「轢き逃げだったみたいだな」
もう一人、はねられた青年の友人と思しき、コンビニのビニール袋を持った男が落ち着いた様子で答えた。
「えぇー、何それー」
「ま、ちょうど良かったんじゃないか?俺達には」
「それはそーだけどー」
一人状況についていけていないサラリーマンはしばらく黙って二人の様子を眺めていたが、ふと我に帰る。
「きゅ、救急車!救急車呼ぼうか!?」
「あー、大丈夫お兄さん落ち着いて。俺爬虫類系の獣人なんよ。ほら、怪我してないから。んじゃお騒がせしましたー」
はねられていた男は一方的に言い残すと、友人を連れて暗い路地裏へと消えていった。
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「アホ、気を付けろ」
「いやいや、信号無視はどーしよーもないでしょ」
はねられていた青年、竜がフードをおろすと、うなじから背にかけて真っ赤な光沢のある鱗が生えている。竜はそれを手で撫でて消した。
「いやー、お前が弁当持ってて良かったよ。俺が持ってたらひっくり返ってグッチャグチャだったもん」
「そうならないように気を付けて運んでくれよ。ここから俺は手で持てなくなるからな」
ビニール袋を持っていた青年、心咲は竜に弁当の入った袋を渡した。
「しっかし轢き逃げかぁー。地上はろくなことがねぇなぁ」
「まったくだ」
そう言って灰色の夜空を見上げた二人の体には、さっきまでは無かった大きな翼が生えていた。
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