1.冒険戦闘初心者

第1話

 「そっちに行ったわよ!」

鬱蒼と生い茂った木々の群れの中、少女の声がこだまする。

 「え?」

その言葉の問いに、少年はまるで他人事のように、

 「え?、ぼくなの?」

 自分を指差しながら、再度確認しながらあたりを見渡すと、4匹の小柄で太った、まるで豚を二足歩行にした様な醜い生物で、この世界では”オーク”と呼ばれている。

そのオークが木の上から降り注いできて、少年にめがけ粗末な槍をかざし襲いかかって行こうとした。

 「うぁ!、な、なんだ!何なんだよ!」

 少年は、その様子に、狼狽えながらも腰に差している剣を抜こうとする。

しかし、慌てていた為か鞘から抜くことができずに、今まさに迫る危機に焦るばかりで対処できないでいた。


 あ、そう言えば、みんなにまだ装備のお金返していなかったな・・・


 この森に入る前に、連れ立ってきた仲間たちから借りた、装備を購入代金のことが頭によぎり、男は悟りににも似た表情で俯きため息をつき、

 「短い人生だったな・・・」

 頭上から、少年を串刺しにしようとする、”オーク”たち。


 「フレイムアロー!」

 「どりや!、死に晒せじゃ!」

 「私の矢を避けることができるかしら」

”オーク”たちに、一筋の炎の矢、一太刀の大剣、放たれた矢が、3匹に見事に命中し空中で絶命する。

 残りの、1匹はバランスを崩し男の足元の地面に叩きつけられ絶命した。

 「大丈夫?ケイン」

 炎の矢を放った、清楚で優美な姿をした少女が、心配そうに駆け寄り顔を見つめる。

どうやら、先ほどの掛け声の主であるらしい。

 「怪我は、なかった?」

 そう言いながら、ケインの体を様子を確認する。

少女は、ケインと同じような年齢に見えるが、その特徴的な長い耳を髪をかき分けていた。

どうやら、少年とは別な人種の人間でであるのが捉えられる。

少女のの美しさと、心配そうにして見つめる瞳に、

 「あ、は、はい、リーディアだいじょ・・・」

 顔を赤らめて、しどろもどろになりながら、リーディアの手を取ろうとすると、後頭部に強い衝撃が走る。 

 「いてぇ!、なにするんですか」

 殴られ多頭を摩りながら、後ろを振り向く。

体長が2メートル、ゆったりとした白い服を着ているが、その様子からも分かるぐらいの筋骨隆々な体型がとって見える。

何よりも特徴的なのが、胸に神を信仰している証の聖印を掲げている。

巨漢の男は、腕を組んで仁王立ちになり、 

「どさくさに紛れて、何を野郎としてるんだね?」

 ケインは、たじろぎながら、

 「べ、別になにも・・・た、ただ、お礼をしようと思っただけで・・・。そ、それに、殴る事は 無いでしょうがゴライアスさんは」

 「口答えするな」

 「あら、お礼なら、私にもしてくれ良いんじゃない?」

 ケインの純粋な様子に、クスクスと笑みを浮かべながら、男に近づく。

背中に弓を抱え、腰に手を当てながらケインの顔を覗き込む。

身長はケインよりもやや高めで、年齢も大人の女性を思わせ雰囲気と落ち着いた物腰、何よりも扇情的な服装により、大人の色香を唯依あせている。

 「いえ、アウラさんお断りいたします。」

 「あら、随分冷たいのね。それとも、あなたにはまだ刺激が強かったかしら」

 「いやぁ、そう言うわけでは・・・」

 ケインは、苦笑しながら困った表情を浮かべた。

その様子をリーディアは、笑をこぼしながら楽しそうにしている。

 「まったく、日頃の鍛錬を行ったいるからいざ洗浄に出ると、そんな事になるんだぞ」

和やかな、雰囲気にゴライアスは一喝する。

 「あのですね、鍛錬て言っても、僕はまだ何も知らないんですよ。無理やりこん連れてこられ、何もわからないまま、あんな化物と戦わせようとして。あなた達は僕に、何をさせたいのですか」

 今まで、溜まっていた不平不満をぶちまけるかのように、声を荒げゴライアスと妖艶なアウラを指差す。

 「何そんなに興奮してるのよ」

 二人は、まるで他人事のように、ケインの興奮状態をキョトンとした目で見つめ、

 「興奮してません!」

 暖簾に腕押しのこの態度に、霹靂とした。


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