異世界から来た愛しい騎士様へ

蝶野ともえ

プロローグ






   プロローグ





 カラスのような少年だ。


 それが彼を見た時に思った、正直な感想だった。


 けれど、それと同時に別の感情も沸き上がってきたのだ。


 きっと、この子なら、普通の友達になってくれるかな。




 真っ黒な瞳を光らせ、鋭い視線で睨んでくるボロボロの少年を見て、そう思った。



 黒髪に黒眼はとても珍しいからなのか、この少年の雰囲気が異様だったからなのかはわからない。

 けれど、この少年は違う。

 そう、直感した。


 


 その時の勘は、数年経った今でも当たっていたと実感している。



 木の棒を大切に抱き締めながらも、目の前の相手から視線を離さずに睨み付けるカラスの少年。



 

 そう、彼は、神様がイタズラばかりする白いカラスを、真っ黒にして地上に落としてくれた。

 神様からの贈り物だったのかもしれない。



 そして、その少年は友達よりも特別な存在になっていく。





 まるで、太陽の国に訪れた、神様からの真っ黒な使者のようだった。

 


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