第84話11月27日あんたがいないと俺の顔なんて誰も知らないんだから

母なしでのスポーツ観戦

思った以上につらいよ

いつものリサイクルショップで黒のシャツを探す

なかったのでいつもの スーパーでお弁当パン飲み物を購入

安いラーメンがあったので1パック購入

その後電子レンジであっためてそのスーパーの外のベンチで食べる

外は暗いし寒いしそれをぐずぐず愚痴れる人もいないし

とりあえずおなかの中に突っ込む

中華風の鶏の唐揚げ美味しかった

美味しかったけれども美味しかった分だけ、吐きそうになる

実際味わっているという感覚もない

行程を振り返る

4時に家を出た 4時17分の電車で現地へ

現地駅から会場へ向かうバスに乗る

バスはすんなり接続したので 早い時間に到着

リサイクルショップにいき 5時半にはスーパーで食品を買う

現在、会場に向かって徒歩

なかなかの仕打ちだなあと

わざわざこんな事をしに来る必要があったのだろうかと

頭を抱えてしまう

それでもこのスポーツ観戦趣味に呪われたのか

俺がもう狂っているのかよくわかんねえけども

来てしまったのだから楽しくないなんて思うと選手にも失礼だし母にも失礼だし

ともかくそろそろ会場につきます

手話の活動がとても癒されるのでこちらもと思ってみたものの

同じ母と二人でやってきたことでも

人を仕切っていたのと、ホントにただ二人だけで無心に楽しんでいたのでは

まるでちがう

ずっと一人がまとわりつく


行ってきてしまった

打ち合わせ仕事があるからという言い訳もあるけれど

非常識だよな

楽しめたかといえば

難しい

家を出てからずっと一人言を言ってた

町でよくみる、目の焦点が合わないまま一人でぶつぶつ言いながらふらふら歩いてる人ってこうやって出来上がっていくんだなと

会場には、一人で来ている人、たくさんいた

その仲間いりをしただけだと思えば大したことない

と、言い聞かせようとして、失敗

ついつい母に話しかけてしまう

やっぱりこの場所には、あんたがいないとだめだって

一人じゃ気が触れるって

いつかこういう日がくるのは覚悟していたとはいえ

思っていたのとは違う

母の体力が限界を迎え

話し合って観戦回数を減らし

やがて映像でたのしめるようにして

最後の観戦日を決めて

潔く、観戦から引退したかった


こんな唐突にぶった切られたらどうすればいいんだよ


人生と観戦を重ね合わせるのをやめて

ただの趣味にすればいいんだ

それがあればちょっとだけ人生が楽しくなるもの、くらいに

そうするにはあまりにも、人生を救われすぎた


一人で行ってみて

バスで 移動 そこからリサイクルショップが本屋だに徒歩で移動

かつかつの時間の中スーパーで喰い物を漁って 食べられそうな所に座り込んで食べる、もしくは会場で軽食を食べる

そして夜の10時11時に バスと電車を 乗り継いで帰る

駅から家までは徒歩

地方の大会ですらそういう強行軍

状況が状況だけに これまでと比べるのは違うのだけど それでもとてもしんどかったことを考えるとだ

これまでも、78歳79歳になる母に それを強要してきたと思うと

やはりどうかしていたんだなあと思うよね

ちょっといいご飯屋でひと休憩をしたって良かったよな

経済力のなさが 強行軍に拍車をかけてた

反省することばかり

あえてこれまでの観戦通りの 買い物をして夕食をとってみた

唐揚げ弁当をスーパーの外のベンチで食べる

深いため息

連続して出てしまうよね

それでも腹に詰め込んで会場に向かう

道すがらの寂しさったらない

早く帰っておいで

選手さん達待ってるよ

あんたがいないと俺の顔なんて誰も知らないんだから

選手とすれ違ってもさ、いつもありがとうね なんて言ってもらえないんだ

俺一人だとそんなもんだ

はやく帰ってこいよ


グッズを買って上げたけど渡せずにいる

多分、嫌な思いをさせるだけだから

行けなかった観戦の品物なんて

閉そく感を増すだけ


また隣で大騒ぎしてくれよ

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