第7話11月2日の気持ち。
先日母に頼まれたものを 用意
なかなかの分量になる
本当に物の場所がわからない 色々あさってみるが結局 母が 言っていた場所に必ずあるのでちょっとびっくり
母の部屋のものは 全てしっかりと整理整頓されておりあれだけ忙しい中でそこまでよく片付けができたなとこちらにも驚く
一方で 母の 衣服を色々と探していると よく生きていたものや一緒にスポーツ観戦行く時に着ていたもの 普段使いながら おしゃれなもの手話での先生服などが 出てきてしまい 正直 気が狂いそう
それでも 俺がどうにかなってはまずいので ただひたすらに気持ちを落ち着かせる
全く 気持ちが乗らないまでも ギターをいじってみたり 歌を歌ってみたりする
気が紛れるどころか 逆に苦しい のだけれど 何か作業をしているというのは なんとなく 現実を忘れられるような気がして 没頭はしてしまう
ただ その作業を辞めた後が 罪悪感
これがいつまで続くのか と考えてしまうと ただ辛い
この先に ほんの少しなりともこれまでと同じ日常が帰ってくる 算段があるのであれば まだ 気持ちも明るく保てるのだけれど おそらく もう二度と あの服を着て ワイワイと遊びに出ることは ないのだろうと そしてそれは ほぼ決定事項なのだろうと それを思うと 言葉にできない 苦しみがある
それを受け入れるということが大事なのもよく分かるけれども ふたりで 20年 頑張ってきた その中で生きていく術としてのスポーツ観戦であり 手話の活動であり それらが奪われるということが どれほどのことかというのは 我が身にしても 今一つ ピンとさえきていない
この先 僕らが どうなっていてしまうのか 誰も分からないし僕らにも分からない
ただ 母にはそれでも幸福だと思える日々が訪れるようにと それだけを 願う
願うしかない
なのだけど 今日までの人生 俺が願うこと祈ること すべて かなわない
こうなってほしくないと思うことは ただただかなってしまう
父親が倒れた日 体育館へ向かう自動車の中で ふと こうやって 父親と一緒に家族みんなでワイワイと できることは 今後なかったりして などと小学生の俺はふと思った
愛猫の時も こうゆう 最期は嫌だと思っていたら 案の定 なんの 手当もしてやることも叶わない経済状況の中で かわいそうな最期を迎えさせてしまった
そして 母についても 願っていたのは 長寿と 健康だけだったのに もしかしたらそうなるんじゃないかなどと 最近頭をかすめていたら そちらの方だけ 起きて しまった
父親の件はともかく 愛猫や母の ことについては ただただ 俺が 駄目だったから いくつでもそうならない道筋をあったはずなんだ それを 全て閉ざしてしまったのが 俺の幼い幼い アイデンティティを 維持したいと言う 万能感
そんなものないのわかっていながら いつかは奇跡的な何かが起こって 俺の何かが認められて 大きなお金が転がり込む そして生活も一転する そうすれば 母もとさも その時体が不自由だった父も 全て幸福になれると 思っていた
奇跡的な何か 何て言うわけのわからないものに 俺の何かが何て言う わけのわからないものに 縋ってしまい それでいて 本当に努力らしい努力をしたのだろうかと言われると 答えることが難しい
色々と頑張ってはきたし 挑戦もしてきた
その中で 自分には例えば何かしらの作品を作る才能というものが いないのかもしれないと 気づく瞬間もある ただ 本気で才能というのは後からついてくるものだと思っていたので 作り続けるということが 大切なんだろうと
そこまではよかった そこから先を作り続けるために自分の生活を整えるということを 蔑ろにし 身勝手な生活を 続け 経済的に困窮させ そんな生活を 母に しいてしまう
それでもあの人はニコニコと 一緒になって苦しんでくれて 結果 倒れることになってしまう 本当に 俺に関わる家族は皆おかしいなことになる その根本は例えばオカルトや そういうことではなくて 単純に俺という人間が 弱くて 小心者で 勇気がなくて ただダメな人間であると言う その一点に尽きる
今は何とか 母の 今後が 安定的に 解決 することが まず先決で それを受けて新しい生活を 作っていく
母の部屋を 1階にする ことも考えなくてはいけない
そうすると俺が2階に上がるのだろうけれど 母の部屋に移るのは 正直 息苦しい とてもつらい
そろそろ今日のお見舞いに行こうと思う
お昼ご飯を食べなきゃいけないのだけど 空腹感はあっても食欲はなく 味覚はあるんだけれど美味しいとは思えない
それでも食べないと 俺が倒れる 俺なんか倒れてもいいとは思うんだけど そしたら残された母がどうにもならない
これ以上不幸 撒き散らすわけにはいかない
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