聖剣同士の喧嘩?
「貴様は誰だ!」
「貴方こそ誰なんですか?」
「我は最強の聖剣だ!」
「魔王の力に耐えられなかった貴方が最強の聖剣?笑わせないでください」
俺の目の前で可愛い女の子2人が喧嘩をしている。
「ちょっと····喧嘩は良くないよ····」
俺は喧嘩の仲裁に入った。しかし····
「主には····」
「貴様には····」
「「関係ない!」」
見ての通りだ。何故こうなったのかと言うと、それは洞窟探検を終え、洞窟から出た時だった。
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洞窟探検の果てに俺は最強の聖剣を手に入れることが出来た····だが、その聖剣は既に魔王の力を封印しており、魔剣?と化していた。これで俺は拾った聖剣を含めて、2本の聖剣を所持していることになる。
「貴様は何故、魔王を倒すのだ?」
封印されていた最強の聖剣が俺に質問してきた。
「そんなこと、決まってるじゃないか」
そう、俺が魔王を倒すのは····
「世界を救うため····さ」
「そうか····だが今となっては貴様も魔王の1人となってしまった訳だがな!ふはは!」
「笑い事じゃねぇよ!」
「まぁ····勇者であろうが魔王であろうが貴様の目的は果たせれるのだから良いではないか!」
こ、こいつ!開き直りやがった!
「開き直って何が悪い!」
「俺の心を読むのはやめろ!他人に心を覗かれるのは非常に気持ちが悪いんだよ····」
俺が最強の聖剣と口喧嘩をしていると洞窟の出口が見えてきた。
そして洞窟を出る直前、外が少し騒がしい事に気が付いた。
「外に魔物がいるぞ!どうする?戦うか?戦うか?」
急に最強の聖剣のテンションが上がる。
「しょうがない····」
俺は洞窟の外に出ると同時に、魔法を詠唱する。
「『聖剣召喚』」
すると俺の右手に拾った聖剣が、左手に最強の聖剣が現れる。
「あれ?」
一瞬だけ俺は不思議に思ったが、すぐに理解する。そういえば、どっちも聖剣か!
「まぁ、良いや!」
外にいた魔物がようやく目に映る。
巨大な体に大きな翼、そして、鋭利な牙を備えた漆黒の動物····
「マジかよ····」
洞窟の外にいたのは「龍」だ。
「だが、やるしかない!」
俺は龍に向かって走る。すると龍は大きく息を吸う。
「主!左右どちらでもいいので横に大きく飛んでください!」
拾った聖剣が俺に警告する。それを聞いた俺は横に飛ぼうとするが、その時、
「ヴァァァァァァァ!」
龍が咆哮を放つ。それは地面を抉りながら俺に向かってきた。そして、俺はそれに当たる寸前の所で回避することに成功した。
「あっぶね!危うく死ぬところだったわ!ありがとうファースト」
「ファースト?それはどういう意味ですか?」
「1番最初っていう意味で、俺が最初に手にした聖剣だから、「ファースト」さ」
「いい響きですね」
「ありがとうございます」
俺は大きく抉られた地面を横目に見ながら、龍を見る。そしてまた龍に向かって走り出す。
「行くぞ!」
だが龍もまた、俺が近付く事を許さない。
「ヴァァァァァァァ!」
龍が先程と同じように咆哮を放つ。
「同じ手が通じると思うな!」
俺はその咆哮に真正面から立ち向かう。
「ふっ!」
俺はファーストを咆哮に向かって突き出す。すると、剣先にぶつかった咆哮にが枝分かれするように裂ける。
それに驚いた龍は、咆哮を放つ準備をする。どうやら溜め無しで放てるのは1回だけのようだ。俺は封印された聖剣を呼ぶ。
「行けるか?セカンド」
「·············ん?我の事か?」
「あぁ、お前の事だ」
「セカンドというのはもしかして、2番目という意味か?」
俺はセカンドの質問を無視する。それを言うと「我は最強の聖剣だ!ナンバーワンだぞ!」って言われそうで面倒だからな。
「まぁ、良いだろう。それでいったい我に何の用だ?」
「セカンドは俺があの龍を倒せれると思うか?」
「当然だ。お前にはこの最強の聖剣がついているのだぞ?」
「おっけー!」
俺は龍の懐へ一気に走る。そして、龍の懐に着いた俺はセカンドを龍の首もとに突き刺す。
「はぁぁぁぁ!」
「ヴァァァァァァァァァ!?」
首をセカンドで突き刺された龍は暴れだす。そして、無差別に咆哮を撃ちまくる。
「うわっ!?あぶね!」
俺は振り落とされないように必死にセカンドにしがみつく。
「しぶといな!だが····これで終わりだ!」
俺は龍の首もとにさらにファーストを突き刺す。
「ヴァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
すると龍はとうとう力尽きたのか、地面に倒れた。
「終わった····のか?」
俺はファーストとセカンドを龍から引き抜く。すると龍はボロボロに砕け、最後は灰となって風に舞ってしまった。
「さすがは我が主!龍を倒してしまうとは····」
「まぁ、我がいるのだから当然だろ?」
ファーストは俺のことを褒めてくれるが、セカンドは····自画自賛ばかりしている。まぁ実際のところ勝てたのは、この2本のお陰なのだがな。
「その~····少し質問があるんだが····」
「どうされました?」
「どうした?」
俺はこの状況にひとつ、物申したいことがある。それは····
「剣のまま、喋らないで欲しいんだが?」
「そうですね····」
「そうか····」
2本の聖剣は考え事を始めて、黙り込んでしまった。そして数分後····
「わかりました····」
「良かろう····」
2本の聖剣が突然、輝き出す。そして、その光が収まるとそこには既に2本の聖剣の姿はなく、ふたりの少女がいた。
「こんな感じでいいでしょうか?」
「これでいいか?」
驚いた。聖剣というのはこんな不思議なことができるのか····そしてどうしてもここまで俺のどストライクゾーンに入っているのだろうか?
「主の記憶で一番印象が強かった人間の姿に変わりました。どうでしょうか?」
「良い!とても良いよ!」
「それは良かったです」
俺は姿を変えたファーストをメチャメチャ褒める。
「「ところで、」」
「聞きたいことがあるのですが?」
「聞きたいことがあるのだが?」
ファーストとセカンドが互いを指さしながら同時に俺に質問をする。
「「誰?」」
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という訳なんだが····正直俺には、この喧嘩を止めることは不可能だと思っている。なので····
「喧嘩が終わるまで待つか····」
そして、数時間後。まだ2人の喧嘩は終わらない。こいつらどんだけ他の聖剣を認められないんだよ····
「····2人とも、いい加減にしろ!」
俺は2人の頭を叩く。そして俺の説教タイムが始まった。
「お前らは2人とも俺の役に立ってるんだから、互いに協力関係を結べ!そしてこれからは、絶対に喧嘩しないこと!これは命令だ!」
俺は無理やり2人の手を取り、その手を繋いだ。
「命令なら、しょうがないですね····」
「まぁ、良いだろう····」
こうして、半ば無理矢理2人を仲直りさせた俺は一旦、2人を連れてラッシュ王国に戻る事にした。
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