肛編とかやったらさすがにひどいので、自粛しますね!というわけで後編

「……ちゅっ♪」


 アニキとキッス♪

 俺の青春の終わりと共に、溢れ出す薔薇色の魔力! 俺の心はどどめ色だけど!

 放課後の通学路、町中を照らすスパーク!


「か、カラダが、熱いッ……!?」


 断じて興奮してるわけじゃないからね?

 カラダの芯から、胸の奥から! ダム決壊のように迸る熱い、熱い力!

 今なら、世界だって変えられる!!


「さあ、イキな兄弟!!」


 俺にこの力を与えてくれた存在。

 漢のスマイルを向けるアニキ天使(ファーストキス相手)に、こくんと頷く俺。

 後で殴るけどな!


「……変身ッ!!」


 華やかで勇ましいBGMと共に、俺の制服が! 弾け飛んで!!


「うぉぉぉぉぉぉぉーッ!!」


《お知らせ》ピーンポーンパーンポーン。


 以下、男子中学生の全裸変身シーンが続きます。

 当放送局では、こんなの需要が無いのでは?と判断し、カットすることと致します。

 ご理解のほど、よろしくお願いします。


《お知らせ終了》


「聖なる愛の護り手、薔薇魔法ホモ野郎マジカル☆ホモォ! 人類丸ごと、ガッチムチにしてやるゼ☆」


 なんか大事な見せ場を飛ばされた気がするが! 変身完了!


 その姿は。

 全身これ、筋肉賛歌。雄々しく躍動する、逆三角形の肉体!

 ギャルゲ主人公的な前髪で目の隠れた髪型だった俺が、今は立派な角刈り!!


 そして! 無敵の漢に余分な装飾など不要!

 纏うはただ一枚、強くそして美しい戦士に相応しい、薔薇の刺繍が施された海パンのみッ!!


「って、ただのマッチョじゃねぇか!!」


 なんだこれ! なんだこれは!

 欠片ほども変身願望充たされねぇよ!

 「これが変身ヒーローに見えますか?」ってアンケート取ったら100人が100人とも「いいえ、ボディビルダーに見えます」って答えるよ!?


 なのに!!


「ホ、ホモォ……」


 なんか敵が見惚れてるし!


「はっはっは! 美しい筋肉、それは全人類共通の宝だからな!」


 あんたはもう黙ってて、アニキ天使!


「しゅ、しゅごい! 見るからにホモ! あの、サインくれませんか!?」


 魔神を呼び出した悪の幹部、銀髪ロリータ幼女はすっげぇ興奮してるしさ!

 もう、わけがわからないよ!


「さあ、戦え! 薔薇魔法ホモ野郎! お前を好き過ぎて暴走したホモ魔神……親友京太君を、受け止めてやれぇぇッ!!」


「ホモォォォォォンッ!!」


 闇の巨大マッチョ、ホモ魔神! 悪魔幼女のせいでマッチョにされたらしい俺の親友。

 雄叫びを上げて、突撃してくる! バトル開始!


 展開速いな、おい! もっと現実を受け止める時間をくれよ!?


「仕方ない! 来い、京太ぁ!! お前の全部、俺が、受け止めてやるッ!!」


 ガシィィィィン! ガシィィィィンッ!!

 飛び散る汗! ぶつかり合う、男同士の肉体!


 その激突の迫力、男女では、あるいは女の子同士では出せない!

 鍛え上げられたマッチョ同士にのみ許された熱き世界だ!


「はぁ、はぁ、や、やるじゃねえか。腰がどうにかなっちまいそうだぜ。けどな、もっと激しくしても、俺は平気なんだぜ?」


 互いを熱く、狂おしく求めあうように、漢達はカラダを密着させあう!


《注・バトル描写です》


 ズンズン、ズンズン! バコォンバコォン!!

 理性などとうに捨てたか! 欲望のまま(腕で)ピストン運動を繰り出すホモ魔神!

 薔薇魔法ホモ野郎の肉体を襲う!


「ちっ、イケないボーイだぜ! 俺がオトナのテクニックって奴を教えてやるッ!!」


《注・バトル描写です》


「……ウッ! イクぞッ!!」


 俺は(手から)白い放出物ビームを飛ばす!

 どぴゅるぅっ!!

 マグマのように熱く、そして白濁したモノが! ホモ魔神の汗に塗れた筋肉に! 掛かるッ!!


「ホモォォォォォンッ!?」


《注・全部、バトル描写です。やらしい要素など、一切無い》


「きゃーきゃー☆ ミルダレーナ感激! ホモ要素特濃すぎて鼻血が止まらないっ♪」


 ごろんごろん悶え転げながら喜んでる悪魔幼女!

 やられてるの、お前が呼び出した怪物だぞ?


「よぉし、敵はだいぶ弱った! さぁ、とどめだ薔薇魔法ホモ野郎!!」


 ガッツポーズでアニキ天使、逞しい肉体! 今さらだけど、あんた自分で戦えるんじゃないか?


「ばっか野郎! そのホモ魔神は、お前の親友だろうが! そいつを救えるのは、お前だけに決まってるだろう!」


「で、でも! どうやって!?」


 薔薇魔法、っていうくらいだから。何かマジカルな浄化技とかあるのか!?

 そんな疑問にアニキ天使、いい笑顔で!


「もちろん……キスだッ!!」


「またそれかぁぁーッ!?」


 全ての設定に邪心を感じるよ!!

 まぁでも、そんな気してた!

 だって俺、武器とかも出ないし。千本の黄金の魔剣とかさ、なんかカッコいいの出るかと思ったら、武器はこの肉体ひとつ! そりゃ必殺技も肉体言語しかないってもんですよ!


「さぁ、愛を込めたキスを! ぶちゅぅぅぅっと! ホモ魔神にしてやんな! それで京太君は浄化され、元の姿に戻るはずだッ!!」


「ドキドキ、ドキドキ♪ どんな素敵なホモキスが見られるのかしら♪ あ、結婚式会場は私が探してあげるね♪」


 敵同士のはずなのに、なぜか声を揃えてキスキスコールを始めるアニキ天使と悪魔幼女!


「ホモォ……(赤面)」


 潤んだ瞳で、羞じらう乙女のポーズで。俺からのキスを待つ巨大マッチョ……ホモ魔神。

 こ、これは。覚悟を決めないとならないのか……?


 大切な親友を、元に戻す為とはいえ。

 セカンドキスまで、男に……。血涙ッ!!


 ふと、なぜだろうな。幼なじみの、俺が恋してた女の子……宮野りりなの姿が脳裏に浮かぶ。

 あいつなら、どうするだろう。友達想いで、真っ直ぐな正義感に溢れたあいつなら。

 例えばあいつの親友、早乙女早百合さんが怪物にされて。キスでしか直せないとなったら。

 ……あいつなら、女の子同士でもキス出来るんだろうか。


「……なぜだろう。絶対やる、むしろ喜んでやる気がするよ!?」


 ちくしょォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!

 俺は、幼なじみの美少女とラブラブする夢のルートに、心で別れを告げながら。

 ホモ魔神へと、突撃していった。


 ……さよならラブコメ。

 そしてハロー、ホモの世界!


「……ちゅぅっ♪」


 ※ ※ ※


「う、うぅん……?」


「よう、目が覚めたか京太?」


 裏山の雑木林の中。正気を取り戻した京太に、声を掛ける。

 ちなみに俺も京太も、元の制服姿に戻っている。……よかったよ、マッチョのままじゃなくて。


「け、剣介。俺は、いったい……?」


「悪い夢でも、見てたんだろ。お前はいつも通りの、俺の親友だよ」


 記憶が混濁している様子の京太に、努めて優しく笑い掛ける俺。

 そう、こんなの悪い夢さ。お前がホモのはずないもんな!


「お、俺……剣介とキスしちまった!」


「記憶あるんかぁィィィィィィィィッ!!!」


 なんだよこれ! なんだよこれ!!

 夢ってことにしとけば全てが丸く収まったのに!! 無かったことに出来たのにッ!!


 かぁっと、頬を染めながら俺を睨む京太(爽やかイケメン)。


「べ、別に嬉しいなんて思ってないからな? 前からお前の唇狙ってたりなんかしないんだからな!?」


 男が顔赤くするの止めぇぇッ! イケメンなら何しても許されると思うなよッ!?


「ははは、まぁいいじゃねぇか! お前達二人は、どうせこれから毎日ちゅっちゅ♪するんだからよ!」


 腕を組みながら朗らかに笑うアニキ天使! よくねぇよ!

 ……うん? 今、毎日って言った?


「そうさ、薔薇魔法ホモ野郎7つの秘密、その1! 強大過ぎる薔薇魔力を制御するためにも、定期的な魔力チャージが必要! つまり、これからは毎日1日1回! 男同士でキスしないといけないのさ!!」


「何じゃそりゃぁーッ!?」


 毎日、男同士でキス!? しないとどうなるの!?


「死にます」


「死ぬのッ!?」


 あ、やば。もう俺、自分がいつの間にか、男大好きホモホモ魔神になってる未来しか見えない!

 毎日何十回何百回とキスして、いつの間にか一線越えて! そんな未来しか見えないよ!!


「そ、そんなっ! 剣介と毎日キス……! は、恥ずかしいけど俺、がんばるよ!!」


 だから京太、男が頬染めやめぇぇッ!!


「はっはっは! がんばれ篠崎剣介! いいや、薔薇魔法ホモ野郎マジカル☆ホモォ!!」


「だから! 俺はノンケだぁぁぁぁぁぁぁぁぁーッッ!!!」


 ※ ※ ※


 戦いの跡。

 放課後通学路を、家の屋根から見下ろす人影。


 ボリュームたっぷりの苺色な髪の毛に、黒いノースリーブの魔法少女コスチューム。

 そしてピンクの極ミニスカート。


 絶壁な胸だけが弱点だが、腰は細く脚はすらっと。天真爛漫な瞳に小ぶりの唇の美少女。

 そう、我らがレズ天使、百合魔法少女マジカル☆リリィ!


「……どこのどなたか分からないケド。なかなか情熱的な戦いぶりだったわね!」


 薔薇魔法ホモ野郎の変身時、そして敵の浄化時!!

 その濃厚で過激な同性キスに、同じくキスを力にする者として!

 百合魔法少女として!! ライバル心を掻き立てられずにいられないッ!!


「僕らも負けてられないよ、マジカル☆リリィ! 早速帰って、早百合と百合キス1000回だ!!」


 素振り1000回、みたいなノリで語るステファニー。

 マジカル☆リリィも瞳を燃やす!


「オッケー、ステファニー!!」


 そして百合魔法少女は。いつものようにパンチラしながら、愛する少女のいる町へと、飛び去っていったのだった。



 薔薇魔法ホモ野郎マジカル☆ホモォ、エピソード7(全100エピソード)、第一部第一章第一幕第一話、終了。


《続……かないッ!!》

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