第8話 我が心、明鏡止水 ~されど羞恥は烈火の如く~⑦

「み、見えてる! 全部見えちゃってるよマジカル☆リリィ!?」


 ステファニーの指摘も、もはや耳に入らず!

 黄金の風をまとい、ノーパンで腕組み仁王立ちの私!


「早百合から3秒以内に手を離せ! 3!」


 悪魔ザフィーアヴォルフへ最終警告!


「ま、待て! 一回だけ! 一回でいいからエッチさせてくれ!?」


 はい死刑!


「消し炭決定、塵になれぇぇーッ!!」


 私は黄金の閃光に!

 マッハを越える速度で悪魔へ飛び蹴りです!


「う、ウォォォッ!」


 もろに食らった悪魔は川向こうまで吹っ飛ぶ!


 すぐに立ち上がるタフな悪魔、しかし、


「く、くぅっ!?」


 盛大に出血して、悪魔は膝をつく。


「み、見ちまった! ノーパンスカートの中身見ちまった!」


 ただし鼻血!

 でも悪魔は戦慄!


「穿いてないのにキックとは、なんて勇気! 羞じらいは無いのか! 俺はハッピーだが!?」


「うっさい! 恥ずかしいに決まってるし!?」


 ミニスカでノーパンですよ!?

 アクション出来る格好じゃないし!


 でもッ!


「でもッ! 早百合の裸を男に見られるくらいなら! 私は修羅にも、ノーパンにもなるッ!!」


 がおー!!

 私は背景に黄金のライオン(イメージ映像)を背負い獅子吼ししくするッ!


「というわけで早百合! 早く浴衣を着て!」


「は、はいっ!?」


 慌てて浴衣を着て、裸を隠す早百合。


「ひどいよ、せっかくのサービスシーンだったのに!」


「うっさいステファニー!」


 あんた誰の味方よ!?


 と、突然!


「く、くはははははははははッ!」


 狼の悪魔ザフィーアヴォルフ、闇のオーラを纏い、月に哄笑!!


「いいぜ、その覚悟! ノーパンで戦う勇気、認めてやる!!」


 悪魔の全身、しなやかな野獣の筋肉が盛り上がる!

 血よりも紅く、凶暴に輝く瞳!


「だが俺は! この程度のエロスで満足せんぞォォッ! さぁ、お嬢ちゃん! 全力のノーパンを、見せてみろぉッ!」


 台詞をOFFにしたらかっこいいシーンですよ?


「上等! 来たれ魔剣よ!!」


 空気を読んだか、再び花火が上がります。

 戦いの彩り!

 私のテンションも最高潮!!


「行っけぇぇぇーッ!!」


 光の軌跡を描き、夜闇を裂いて!

 私の武器、無数の黄金魔剣は飛ぶ!!


 自動追尾モード、剣のファンネル!!

 悪魔を狩り立てる断罪の剣、その速度は疾風を超えて!


 しかし!


「まだ遅ぇッ! そんなノロさで、狼を狩れるかぁッ!」


 風より速く、目にも止まらぬ超絶機動で剣を避けるザフィーアヴォルフ。


「スカート! めくるぜぇぇぇッ!」


 その鋭い爪を走らせる。


 でも!


「……残像よ」


「な、なにっ!?」


 お返しっ!

 悪魔の背後を取る私!

 今の私のスピードは、風どころか音すら超える!!


「イヤーッ!!」


「グワーッ!?」


 私は悪魔の背中に、掌底を叩き込む!

 腰を入れて踏ん張った分、ノーパン見えるけど! 今は気にしない決意!


 更に追撃!

 黄金の魔剣を手に執り、悪魔へ斬りかかる!


「させるかよォォッ!?」


 悪魔も、その鋭い爪を更に伸ばし、反撃!

 金と黒の刃が交わる!


 私は黄金の風に、悪魔は漆黒の風になり!

 常人の動体視力では認識不可能な速度でぶつかり合う!


 何者も立ち入る事を許さない、一瞬でも遅い方が全身を切り刻まれる、そこは剣の結界!

音速の刃がぶつかるバトルフィールド!!


「な、なんて速さだ! 作画班泣かせにも程があるよ!?」


 巻き起こる暴風に、吹き飛ばされそうなステファニー。


「あわわ、な、何がなんだか!?」


 早百合も、風で脱げそうな浴衣を抑えつつビデオ撮影!


「動きが速すぎて、せっかくのノーパンが見えないわ! 後でスロー再生しなくちゃ!?」


「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「イヤーッ!」「イヤーッ!」


 カラテシャウトと共にぶつかり合う魂!


 その戦闘儀式にも終わりの時が来る!


「グワァァーッ!?」


 死の竜巻から、弾き出されたのは悪魔の方!

 私の渾身のハイキックが、その顎にクリティカルヒットしたのだ!!


「思い知ったか、エロ悪魔め!」


 倒れた悪魔を、びしぃっと指差す私!


 これぞ天罰!

 早百合の裸を見ていいのは、私だけなんだから!!


 しかし!


「く、くくくははは、はーっははははははははははははぁッ!!」


「な、まだ立つの!?」


 悪魔ザフィーアヴォルフ、まるで不死身かのように立ち上がる!?


 なんてタフな奴、これが子爵級悪魔、『爵位持ち』とやらの実力!?


「……見たぜ! 今のハイキックの時!」


 勝ち誇る悪魔!


「お嬢ちゃんのスカートの中、ノーパンが完全に見えたぁッ! 俺の勝ちだッ!」


 ……ばか?


 心底呆れる私だけど、次の瞬間には、洒落にならない事態に!?


 悪夢!?

 なんと悪魔の傷が、みるみる内に塞がっていく!!


「性欲こそ! 俺の魔力の源さ! お嬢ちゃんのノーパンを見て、元気になっちまったぜぇーッ!!」


 しかも!


「お、おい、何かすごい音がしてるぞ!」


 げ、花火の見物客が集まってきたし!


「あ、あの女の子! ノーパンだぞ!?」


「魔法少女のコスプレでノーパン! まさか、企画もののAV撮影か!?」


「ふぇぇっ、予想外!?」


 み、見ないでぇ!

 たくさんの人にノーパンを見られ、封印した羞恥が再度溢れ出ちゃう!!


「わ、私は! 露出狂とかじゃありませんからぁっ!?」

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