第53話 チーム霧島の夏休み

静まりかえる教室。現在テスト中なので

皆真剣に取り組んでいる。


そうしてもらわないと昴は困る。その

昴は開始二十分で終わっている。

テストなので午前中に終わるのだが、この

三組だけは終わらない。


テストが終わるまでは昴の地獄の勉強会が

行われるのだ。


それは学園中に広まっていて、教室の

窓からそれを覗いて行く生徒が多い。

昴達は気にせず勉強をする。


昼からしているので夕方には終わるが

心配な生徒は昴に聞いたりして

残っていたりする。


「今日はここまでだ」

「終わった!今日もすげぇ勉強したな」

「今までこんなにしたことなかったわ」

「本当だよね。でも、夏休みがなくなる

よりはましだよね」

「ええ。これも霧島君がいるおかげだね」

「俺がいなくても勉強しろ!来年どう

するんだお前ら」

「来年か。俺は大学かな」

「私も」

「どうせなら皆同じ大学に行きたいよね」

「うん。チーム霧島で」

「それは無理だな。俺は就職になるからな」

「そっか。高卒したらデビューするん

だもんな」

「じゃあチーム霧島は高校までなの?」

「俺はどっちでもいいが、お前らは

そのままでもいいんじゃないか。嫌なら

やめればいいだけだからな」

「やめない。私はずっとチーム霧島の

メンバーでいたい」

「私も」

「俺もだ霧島!俺たちはチーム霧島だ」

「おう!」

「アホどもが」


そういいながら昴はうれしかった。だから

このメンバーとはずっとつるんでいたい

と思った。


そうしてテストは最終日を迎え、無事に

終わった。結果は全員合格し、昴は

全て満点を出しその方が話題になった。


テストも終り、夏休みに入り、昴は

チーム霧島のメンバーを初めて自分

の部屋に呼んだ。


「ここが霧島の部屋か」

「アパートだから古いけど、綺麗にしてる」

「うん。やっぱりちゃんとしてるねリーダーは」

「それはいいからテーブルに集まれ」

「やっぱりするのか?」

「当たり前だ。どうせお前ら宿題は後に

やるだろ?それで俺に頼むなら、最初に

した方がいい。俺にもやる事はある

からな」

「わかったよ。確かに最初にしておけば

後は遊べるしな」

「そうだね。高校最後の夏休みだから

皆で楽しもう」

「その為にも終わるまでは遊べないからな」


昴達は宿題を始めた。めぐみは仕事で

いないが、勇也達は皆昴の部屋で

宿題をした。


夏休みなので勇也達は泊まって行く事に

した。


昼は外で外食をし、少し息抜きにゲームセンターに行ったり、凛達の買い物に付き合っ

たりして夕方に戻ってきた。


夜、昴の部屋に侑子がやって来て、皆に

紹介した。昴は恥ずかしそうにして

いたが、侑子は昴に抱きついてみたり

してなごませていた。


「じゃああまり遅くまで起きてちゃだめ

だからね」

「わかりました」


侑子は自分の部屋に戻った。


「良い人だね侑子さん」

「ああ、美人だしな」

「そうだな」

「お!まだ恥ずかしいのか?」

「黙れ」

「霧島君可愛い」

「深雪」

「霧島君、一緒にお風呂入ろ」

「断る。風呂は勝手に使え」

「どうせなら皆で入ろうよ」

「それって俺らもか」

「ま、宮田君もいいかな。霧島君が

一緒なら」

「霧島、一緒に入ろうぜ」

「アホ!五人も入れるか。めぐみの家

じゃないんだぞ」

「狭い方が密着できるわよ」

「霧島」

「それ以上言ったら裸で追い出すぞ」


結局、お風呂は女子達だけで入って

昴達は一人ずつ入った。


夜も遅くなり、凛達は三人一緒にベッド

で寝て、昴と勇也は床で横になった。


「起きてるか霧島」

「なんだ?」

「こういうのもいいもんだろ!バカ騒ぎ

して遊ぶのも」

「加減すればな」

「ま、そこはリーダーがしっかりしてる

から俺達も楽しめるんだよ」

「結局、俺がしなきゃいけないんだな」

「昴君だから安心できるんだよ」

「起きてたのか」

「うん。せっかく夏休みなんだから、徹夜

してもいいかなって」

「明日も夜まではここにいるんだし」

「勝手にしな」

「じゃあ勝手にしよう」


凛達は昴の布団に紛れ込み昴を逃がさない

様に抱きつきながら寝た。昴も諦めて

眠りについた。


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