第9話(エアハート)
ーー次の日。ゼノは昼に起きる。思わず、エアハートが降ってきた。すぐに組織の男にメールを送る。
『大変です。薬なしでエアハートしましたが、大阪都知事に通り魔が襲いかかります。夜のコンビニに都知事が立ち寄ったら注意です』
『相手は何人だい?』
『アジア人で二人組です』
『ありがとう。すぐに通達する』
ーーゼノとコンタクトを取る組織の男、小泉(こいずみ)は、その一報がメールされてから間を置いて返信した。大阪都知事がどうなろうと知った事ではない。しかし、カシを作れる。
ーー小泉は、ゼノの能力を知って組織の歯車にかませた。ゼノが14歳の頃だ。警視庁にテロ計画のタレコミをした。当然、警察は相手にしなかった。日時、場所、ターゲット。ゼノの話は妙にリアリティーがあり、逆に子供のイタズラだと判断され相手にされなかった。しかし、東京でテロが起きてしまった。それを傍受していた組織が、ゼノに目を着けて勧誘した。
ーーエアハートとは、予知夢だーー
ゼノは、コードネームとして予知夢をエアハートと命名した。小泉をはじめ組織の人間は、エアハートの可能性を高めるために様々な実験をした。最終的に落ち着いたのが、R32スカイラインGTRの車内でエアハートを使う事。これは、ゼノの心理的要素が殆どだ。組織は、ゼノにR32スカイラインGTRを買い与え、エアハートをさせて、不利益を被らないようにしている。
ーーゼノは、淳史の家に行く。見慣れない車が、駐車スペースに停まっていた。チューンナップしてあるS15シルビアだ。淳史は、そのシルビアの運転席に居た。ゼノは、隣にGTRを停める。
「アッツ、ちわ。そのシルビアはどうしたの?」
「ちわ。親に買ってもらったんだ。さっき納車された。これで、俺もドリフト出来るぜ」
「じゃあ今夜は走りに行くべ」
「いきなりかよ。ぶつけたくない」
「どっちだよ!? アハハ」
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