第17話

彼は私をどうしたいのだろうか?


〝何もなかった〝ことで

終わらせたかったのは

彼だったはず


彼の方から

私に関わってくる

意味がわからない


彼が眠って、

数時間後

私は一睡もできぬまま

彼を起こす


「おはようございます。

時間です、起きてください」


何度か声をかけたけど

返事がないから、

そっとドアを開けてみる


「失礼します…

起きてください、時間ですよ」


「ぅん?…何時?」


「四時前です」


「もう?…わかった

…起きる…」


だるそうな寝起きの声。


そのうち、

ベッドから手を伸ばして、


「起こしてー」


と。


え?…


恋人同士の朝なの?…


ベッドに横になったまま

伸ばされた手を

掴んで起き上がる手伝いを…


「きゃっ」


彼の力が強すぎて

逆に私が倒れてしまった


固まり赤面する私。


「力なさすぎ。」


ちゃんと引っ張ってよー


からかって笑う彼。




朝からこんないたずらするんだ…


こんな他愛もないことから

ファンとしては

知り得なかった彼を

知っていく



起き上がって

私の顔を見るなり、


「ん?寝なかったの?」


っっ!!

寝なかったわけじゃない、

眠れなかっただけですっ


でも、きっと

私、ひどい顔してるんだ


瞬時に彼から顔をそらす


「〝早く寝て、

少しでも休んだ方がいい〝って

自分で言ったくせに。ハハハ」


んっ!


急に仕事も変わって、

しかも彼の専属で、

その上、部屋に泊まるって、

こっちは混乱してるのに!


少しだけ彼に

嫌悪感を抱いた


長いファン歴で

一度たりとも

彼に嫌悪感を

感じたことなんてなかったのに…



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る