2度目の恋が本物でした

@ikoiko

第1話

10年もの間、

憧れに憧れたアイドルと

ひょんなことから

トントン拍子に

いく所までイッテしまった。


舞い上がるほど嬉しいけど、

その後のことは望んでいない。


最初で最後


今、ベッドの上で

煙草をふかしている彼が

物憂げな表情で言いだしたいことは

わかってる


「先に…出ますね?」


これを未練と言うのだろうか?

彼と繋がれたカラダを

シャワーで流すことなどしたくなくて、

そのまま身支度を済ませる


握手会で握手をしたら、

『もうこの手は一生洗わない!』って

言うのと同じ感覚。


部屋を出ようとした私を彼が止めた


「ちょっと待って」


そそくさと部屋を出ようとしたから、

何か勘繰られたのかと焦った。


「写真も撮ってないし、

録音もしてません!

何も証拠は持ってないですっ!」


悪いことは何もしていませんっー


「へ?」


聞いてもいない空回りな回答に

彼は驚いていた様子だったけど、

手にしていた

煙草の火を消して、


「あぁ確かにそれも困るけど…」


言いながら、

私の方を見た彼とパチリと目が合った。


それから

特徴ある彼の大きくて切れ長な目は

私を捕らえて離さない


まるで心の中を見透かすように

見つめる


堪え兼ねた私は


「…口外もしません。」


それが必要だったのか、

ふと表情を緩めた彼。


今はそれを残念に思う気持ちより

当たり前なんだと自分に言い聞かせて


「絶対誰にも言いません」


私は言い切って

部屋を出た。














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