なにかが歩いてきた

 高校生か卒業後の頃だと思う。夕方、自宅一階の雨戸を閉めようとしていたときのこと。

 視界の右端、庭の向こうから何かが歩いてきた。

 四足歩行の白い動物で猫のようだった。

 家の近所には飼い猫も野良猫もけっこういたので、これだけではそれらのうちの一匹かと思った。


 ほっといたら家に入ってきそうな気がしたので、雨戸を早く閉めようとしながらわたしはそちらを確認した。


 すると、正面から見るとそんなものはいなかった。


 わたしにはよくある視界の端には見えるが正面から見ると見えなくなるもので、やはり気のせいか幻覚のようなものかもしれない。だが記憶にはないが、こうした白い猫のようなものは家でこの他にも何度か目撃した覚えだけはある。また、大きさや姿や場所的に、これは『部屋で動いた』の体験のものと同じような気もする。

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