第144話 ささき かける


詐欺師と知り合うとは、思っても見なかった。

それも世界トップクラスの有名組織のメンバー。


喫茶店グレタの店長として、座について少しした頃。天真爛漫そうな少年と、誰もが目を奪われる美貌をした女性が来店。一応 店の者として挨拶をカウンター側からする。


僕に2人は会釈をしてくれて、初対面ながらこんな愛想良くしてくれるのかと感心した覚えがある。


そして初めて来店してくれたにもかかわらず、少年は同席した女性にいきなり告白をしだした。正直こんな所で!?って言葉が浮かばなかった。いや、店がボロいとかじゃなく。これでも人気店として色々紹介されてるから、店構えは大丈夫だと思うけど。



まずはなんかメニュー頼もうよ……。

水だしに行った後輩もビックリしてるよ。2度見してるじゃん。あぁ、困惑しながらこっちきた。


「お、おつかれ。水だしありがとね」

「はい……。な、なんですかアレ。まだ水しか置いてないのに。天然な人?」

「うーん。僕の店を告白の場所に使う分には別に良いんだけどさ」

「はい」

「早くね?」

「ですよね!」


カウンター内に戻りつつ、後輩は小声で僕とそんな話をした。結局あの二人は会話の後、コーヒーとケーキをたのんでくれた。


淹れ終わったコーヒーと冷蔵庫に冷やされたケーキをトレイに置く。後輩が持ってこうと傍に寄って来てくれたが、気になりすぎる僕が完全私情で持ってくことにした。



「お待たせしました。ホットコーヒーのエメラルドマウンテンと苺のショートケーキです」

2人分のコーヒーカップを机に置き、次にケーキを

眼前に置く。



「ありがとう」

「どうも!」


にこやかな笑顔の女性と振られたばかりなのにあっけからんとしている少年。2人はどういう関係なのだろうか?あまり観察眼は宜しくないから、一発でこんな関係!なんて当てられることは出来ない。


多分少年の方が年下だろうな。何となく幼い雰囲気漂ってるし。でも2人の年齢差はデカくない。2、3個離れてるくらい?



「あの、どうかされました?」

「………。」

「あっ、す、すみません。失礼を」

「大丈夫ですよ。ちょっと疲れてるんじゃないでくすか?少し休むくらい誰も咎めませんよ?」

「ありがとうございます。裏で休んできます」


具合が悪いと取られたみたいだが、申し訳ない。

単純に御二方の関係が気になってボゲーっと見つめてしまった。なんて言えないな。


フラフラとカウンター奥の部屋に入る。まあ赤の他人にジッと見つめられちゃ誰だって不快だわな。

店長として恥だ。しっかりしないと。


奥の部屋で一息ついて店に出ると、何故かカウンター席に少年が座っていた。誰もその列には座ってなかったから、若干怖い思いをした。


女性の方はコーヒーを啜っていた。ケーキは2人とも既に召し上がったようだ。それにしても、この子はなんの用でカウンター席に座ってるんだ?


「お客様、どうかされましたか?」

「ん?ちょっとね。個人的に店員さんに興味持って話しかけに来た。今大丈夫?」

「は、はい。お客さんも適度にいますし、他は後輩に任せておりますので」

「そっか!良かった。じゃ、さっきの事。なんでジッと僕らの事見つめてたの?あ、別に怒ってるとかじゃないよ?ただ少し気になっただけ」



やはり視線のことか。不快にさせてしまったのか。この子は大丈夫だと言っているが、女性の方は不快以上、気持ち悪いという感情だろう。つまり僕に文句を言いに来た。



「大変失礼致しました。あの、正直に申しますと、御二方の関係性が気になりまして。年齢差、とか」

「あー、やっぱ?だよね笑。いきなり告白して振られるなんて事してちゃ、目立つよね笑。ん〜、僕正直者は好きだから、その質問に答えてあげるね。」


男の僕でも惚れる笑顔を振りまく少年は、何か重いものを背負ってるように見えた。


「まず自己紹介だね。僕は小糠雨しん。あっちの女性はフレデリック・サイデリカさん。……恥ずかしいな。いつもフレデリックたそって呼んでるから///あ、ごめんね。惚気ちゃって。んで、関係性は職場の先輩後輩。フレデリックたそが先輩、僕が後輩。年齢差は5つ。こんな感じかな。えっと……」



制服の胸元のネームに顔を近づけ、小糠雨しん君は


「佐々木……翔ぶって書いて、かけるさん?」

















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