悪事身に帰る
女はある日突然髪の毛が全て抜けた。薬も大病もなかった女は半狂乱で病院に駆け込んだが、至って健康体だと診断された。育毛剤やヘアケアの専門に頼ったが全く役に立たない。藁にも縋る思いで神社仏閣に頼ると、神主から何かを害したことはあるかと聞かれた。女に一応警察沙汰になるような前科はなかったが、思い当たることは一つあった。
以前酔っぱらった勢いで、姪のぬいぐるみを壊した事があった。周りも中学生にもなってぬいぐるみなんか持っている方が悪いと庇ってくれた。それに動物虐待じゃないしノーカンでしょ。害した相手に誠心誠意謝りなさいと言った神主に、生まれてから一度も自分の非を認めたことがなかった女は納得できず、何で私が謝らないといけないのと掴みかかった。
女は通報されなかったものの文字通り叩き出され、帰る途中で飲酒運転の事故に巻き込まれて大火傷を負った。命に別状はなかったが、女は死ぬまで髪の毛は一本も生えず、火傷の痕も一切消えなかったという。
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