油断禁物
さる財閥のご令嬢を拉致に成功した。リーダーから逃がすな殺すな自殺させるなと命令されていたが、手を出すなとは言われていない。少しくらい遊んでも問題ないだろうと椅子に拘束された令嬢の服に手をかけた。
「せっかちな男は大成しないよ」
嗄れた老婆の声。令嬢には麻酔を打ち、口には猿轡を嵌めていたのに。はだけられたシャツの、鎖骨より下の肌。底意地の悪そうな老婆の顔がにやにやと笑っていた。見張りしていた誘拐犯は、仲間のつんざくような悲鳴を聞いて銃を構えて扉を開けた。部屋の中には意識の戻らない令嬢と腰を抜かした仲間。
「喋った、顔が、今喋ったんだ!」
「ハハハ、肝の小さい男だねぇ」
誘拐犯達の間を裂くように響く嘲笑。
「今、ほら!」
振り返った仲間の頬には、くっきりと、老婆の顔が浮かんでいた。
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