3-5

 土曜日の昼過ぎ、宿題をするための学業用フルダイブシステムがHTOと提携したため、ゲームにログインし、刻印してMPを使い切ってから宿題をすることが出来ます。宿題を展開していてもMPの回復速度に変化がないのはありがたいですね。タイマーをセットし、宿題を始めると、ヤタと信楽は大人しくなりました。これは宿題を始めるとある程度行動に制限がかかるのでしょうか。まぁ、集中出来るので助かります。

 集中して宿題をこなし、時間がきたら休憩がてらヤタを信楽を愛でる。これは宿題が捗る空間ですね。とても助かります。しばらく続けていると、肩が凝った気がしました。流石にフルダイブ中に肩こりなどおこるわけがないので、気のせいであり、精神的なものなので、予定している時間まで続け、その後に休憩を取りましょう。

 長めの休憩を取るために学業用フルダイブを閉じました。すると、ヤタと信楽が空腹を訴え始めました。やはり、学業用フルダイブを展開していると、一部の動作に制限がかかるようですね。流石、展開場所が限られているだけのことはありますね。クランハウスや、個人のホーム、レンタル出来る個室など、閉じた空間でしか使えませんから。フィールドでも展開出来たら、何かしらの悪用が出来る可能性もありますし。私の満腹度も回復させ、回復したMPを刻印で使い果たしてから外に出ることにしました。





 外へ出てみると、夜になっていました。今からフィールドへ出ても、夜のMOBが出現しかねないので何が出るかはしりませんが、きっと危険です。そこで、宿題に続く夏の風物詩の確認も兼ねてエスカンデへと移動し、とある施設へと向かいました。

 そこは大きな建物ですが、中に入ると煌々と明かりが点いています。夜の図書館で肝試しを考えていたのですがとても残念です。夜でも図書館が開いているとは、流石MMOです。せっかくなので一部のスキルについて調べましょう。

 まずはカンストしているのに上位スキルが解放されなかった再精です。ええ、もちろん忘れていたわけではありません。ただ調べる機会がなかっただけです。嘘ではありません。

 再精をキーワードにして検索すると、三冊の本が提示されました。二冊は同じ棚にあるようですが、一冊だけ違う場所にあるようです。この本は先に読まなければいけませんね。表示された場所にある棚には、仕様説明とかかれており、本の題名はスキル概要なので、期待外れ感満載ですが、可能性の高い候補を後にすると思えばいいのです。

 さて、目当ての本を読んでみましょう。

 えーと、取得可能スキルには……。

 条件が……。

 であるからして……。

 ふむふむ、スキルの取得方法による分類の本でした。

 普通にスキル一覧に始めから載っているスキルと、再精のように何らかの条件や行動を切っ掛けに解放されるスキルと、NPCとの交流で解放されるスキル、そして、NPCから伝授されSPを消費せずに取得できるスキルがあるそうです。これは上位スキルにも適用されるので、上位スキルが解放されたスキルでも、何かを切っ掛けに別のスキルが解放されることがあるそうです。とても今更な情報ですが、NPCから伝授されるスキルがヒドゥンスキルに分類されることがわかったので、よしとしましょう。

 この本にもう用はないので次は見つかった本が固まっている本棚へと向かいます。さて、どんなわかりきったことが書かれているのやら。

 目的の本棚を見付けると、先客がいました。全く知らない人ですが、図書館で人に会うなんて珍しいですね。ちなみに、先客がいて目的の本を読んでいたとしても、順番待ちは発生しません。同じ本が何冊もあるわけではありませんが、本を検索している場合は、目的の本が追加されるようになっています。その辺りはデータなので、融通がきくということです。

 お邪魔しますよっと。

 まずは大外れっぽい【MPについて】という薄い本を手にしました。どう考えてもヘルプに載っていそうな本です。まぁ、予想通り、何のステータスが影響するとか、どんなスキルで回復速度が変化するとか、そういう内容でした。ちなみに、瞑想というスキルを使うと、瞑想している間だけ、回復速度が上がるそうです。解放条件がMP一割以下の時から全回復するまでじっとしていることって、やりたくないですね。

 次は題名からして本命の【魔力にまつわるスキル ~基本編~】です。もうはじめっからこれだけで良かった気もしますが、何事にも順序というものがあります。

 内容としては、魔法スキル各種の簡単な説明など、魔法系の攻撃・補助問わず、様々なスキル名が載っています。取得可能スキル一覧に表示されていないスキルとしては、瞑想と知力上昇に各属性別の魔法威力上昇というスキルです。ここに載っているのは全部基本スキルのようですが、魔法威力上昇の場合、その属性の魔法を使いこなすことで修得することが出来るとなっています。つまり、下級か中級かはたまたそれ以上のスキルをカンストさせると現れる基本スキルなのでしょうか。HTOの場合、基本スキルからの一方通行だと思っていたのですが、まさかの逆走があるとは思いませんでした。これ、解放された場合、システムメッセージで表示してくれるのならいいのですが、しれっと解放されていると厄介ですね。

 ちなみに、知力上昇は冒険者ギルドのランクをEにしてから魔術ギルドを訪問するらしいです。つまり、Fランクのぺーぺーには教えられないということらしいです。何度か納品クエストを行っただけなので、まだFランクなので、Eくらいにはしておきましょうかね。納品クエストなら、アイテムを買ってもいいですし。

 とりあえず、キリもいいので一度ログアウトです。

 ログアウトするとスマホにメールが来ていました。おかしいですね、家族や伊織からのメールはログイン中でもわかるようになっているのですが……。神宮さん……、ああ、クラスメイトですね。連絡が来るとは思っていなかったので、覚えていませんでした。えーと、明日の午後にゲーム内で会えないかと言ってきていますが、私に予定はないので、会えないことはありません。強いて言うなら、週に何度かは運動がてら外に出るつもりでしたが、土日はどこも混みそうなので、出かけるのは平日ですね。面倒ですが、連絡先を教えてしまいましたし、貸し一つとなっており、空いてはいるので、ログインする前かゲーム内で連絡してと言っておきました。フルダイブゲームで敵を倒すことに対する忌避感についてはよくわからないので、力にはなれないと思いますが、本人の気がすめば面倒事も減るでしょう。





 いつものように夜のログインの時間です。エアコンの設定温度を調節して風邪をひかないように注意してログインします。

 ログインしてからいつものように刻印し、MPを空にしてから冒険者ギルドのクエストを確認します。随分前にオババが鋭いトゲトゲが納品クエストの対象だと言っていましたが、その通りですね。しかも、対象のMOBが強ければ強いほど、評価が高くなるので、少ない回数でランクアップ出来るそうです。さて、鋭いトゲトゲは50個持っており、一回の納品に必要な数は10個です。相変わらず、初期のインベントリのスタック数よりも1個多いという酷い仕様ですね。鋭いトゲトゲはドロップ品ではなく、プレイヤーでいう投擲アイテムのようなものなので、評価はそこまで高くないのか、ランクアップには至りませんでした。ぺーぺーでも討伐クエストは受けられるようですが、指定数が少ないので、何度も戻るのは面倒です。もうこれは放置してしまいましょう。その内納品クエストのアイテムを買うなりすることにします。

 さて、何をしましょう。

 センファストの南にあるはずの街は見付かっていないので、今行く必要はありませんし、ノーサード付近にあるという茶色の欠片も興味があります。詳しい場所は知りませんが、ゲシュペンストと名付けられた幽霊の鷹もいるようですし。後は、エスカンデから北にある景観ポータル付近ですね。あそこから見えた湖付近は避暑地にいる気分になれそうなので、涼しい装備を手に入れた今、行ってみるのも一興です。

 そんなわけで私は今、景観ポータル【湖を見渡す祠】を訪れています。前回は一人で景色を見たくらいですが、今回はヤタと信楽もいます。まぁ、本格的に何かをするために訪れるのは初めてですが。まずはあからさまに何かありそうな祠を調べましょう。まぁ、こういった場所はダンジョンと相場が決まっています。問題はここがどういったダンジョンなのかということです。このゲームの場合、草原の門や蜃気楼の塔のように入る度にランダム生成されるタイプや、北の鉱山のようにダンジョンといいつつも、フィールドの一部に見えるものや、古の都のようにどこか別の場所に繋がっていそうなものなど、様々な種類が混在しているので、入ってみなければわかりません。まぁ、そこまで調べる気はありませんが。

 それでは入ってみま……、人が出てきました。しかも、奥から歩いてきたというよりも、突然現れたので、ランダム生成か、別の場所と繋がっている系ですね。


「んん? ここで人と会うなんてめずらしいな。あんたもここに挑んでるのか?」

「んー、挑むかどうかは中を見てから決めますよ」


 男性六人によるPTですが、中々装備がしっかりしていそうな人達です。


「そうかそうか。魔法使い一人じゃきついと思うから、気を付けろよ」

「そうですか。じゃあ、ダンジョンの種類だけ見たら場所を変えますよ」


 私の挑む気がないという宣言に何人かが小さく吹き出しています。魔法使い一人じゃきついのであれば、無理に一人で挑む必要はありません。ですが、この人達にとってはそれが予想外だったようです。


「おいおい、簡単に信じるのか?」

「信じるというか、もともとふらついているだけですし、本来の目的は避暑地気分を味わうためにあっちの湖に行くことですから」

「……そうか。ここはランダム生成されるタイプだから、助けられないが、気を付けろよ」

「それはそれはありがとうございます」


 それだけ言うと、私はヤタと信楽を連れてダンジョンへと足を踏み入れました。しばらくしてから振り返ると外から光が差していますが、景色が見えません。これは完全にランダム生成されたダンジョンへと飛ばされましたね。ここでこうしていてもしかたないので、光源を使って灯を確保してから奥へ進んでみましょう。

 この祠の中は天然の洞窟を利用しているようなので、天井や壁は土が露出していますが、足元には石畳が敷いてあります。まぁ、全面ではなく、ある程度の幅だけですが。

 せっかくなら壁に松明をかけておいてくれれば雰囲気も出るのですが。何かしらの明かりがなければ真っ暗闇でしょうに。

 ヤタや信楽と共に警戒しながら奥へ進んでいくと、曲道が……あ、ミニマップにこのダンジョンで初のMOBが映りました。ダンジョンなので遭遇しないわけはないので不思議ではありませんが、いざとなると緊張しますね。とりあえず近付く前に対処法を考えましょう。相手の属性がわからないので、マジックランスを叩き込んでから識別しましょう。属性がわかれば、次に使うべき魔法も決まりますから。

 ミニマップに映っても、光源によって照らされる範囲にこないと識別出来ないようです。まぁ、照らされる範囲も結構広いのですが、曲がり角の向こうにいるMOBを識別するにはどんなスキルが必要なんでしょうかね。まぁ、それは斥候メインの人に任せればいいので、それが出来る人がいるとだけ覚えておきましょう。

 動きを考えている間に光源の範囲に近付いたので、準備です。そして、光源によって大きめの燃えている蛇に光が当たると当時に――。


「【マジックランス】」


 ディレイが伸びるのは困るので、単発での発動です。それと同時に識別すると、【エンジャ】と表示されました。属性は火属性の小となっています。……ここに来て初の極小を超える属性持ちのMOBと遭遇しました。これは水属性以外を使うのがとても勿体無いことになりますね。

 そうとわかれば行動あるのみ。私は後ろに大きく下がりながらアイスランスの魔法陣を三つ展開します。


「【アイスランス】」


 氷の槍がエンジャへと向かい貫きました。ボスではないのでHPバーは表示されませんが、少し弱っているようですが、これは中々タフそうですね。

 そう判断し、後ろに下がり続けていたのですが、ここで一つ大きな問題が発生しました。そう、相手は蛇のようなMOBです。つまり、移動速度がとても早いのです。


「【メタルボルト】」


 アイスランス三発分のディレイが終わると同時に鉄の弾丸を三発叩き込み、後ろへと吹き飛ば……されませんでした。エンジャは大きめの蛇ではありますが、洞窟を塞ぐほどの巨体ではありません。けれど、炎を纏った体は、薄っすらと向こう側が透けている気がします。

 あ、これ、物理透過系ですよ。

 どの程度の透過率なのかはわかりませんし、少し怯んでいる様子も見えたので、物理無効ではないと思いますが、効きが悪いのは火を見るよりも明らかです。まぁ、見えているのは炎ですが。

 メタルボルトで距離を空けながら、私も下がって魔法陣を描く時間を稼ぐつもりでしたが、ディレイが終わる頃には噛みつかれてしまいそうな距離です。とりあえず、下がってはいますが……。

 あっつい!

 よりにもよって足を狙ってきますかこの蛇は。食らいつかれた足からダメージを受けていることを示す痺れを感じ、巻きついてきた場所からは燃やされているような熱さを感じています。ただHPの減りが遅いのは、水属性の防具のお陰だと思います。

 ですが、このままだと燃やされてしまうので、至近距離ではありますが迎撃をしなければいけません。ヤタも信楽も、炎を纏った蛇への対処が出来ないようなので、当てには出来ませんし。


「【マジックランス】」


 魔法陣の展開と妨害の仕様はよくわかりませんが、何とか魔法陣を三つ描くことに成功し、無色に光る槍を叩き込んでやりました。その結果、ポリゴンと化しリザルトウィンドウが表示されました。

 エンジャには合計10発のランス系を叩き込みましたが、弱点分や物理耐性も考えると、もう少し少ない数で済むとうれしいのですが。

 獲得したドロップ品は赤色の結晶と炎蛇の鱗です。これについて詳しく確認する前に先へ進まず戻りましょう。ヤタと信楽を召喚していてもMPにはまだ余裕があります。けれど、私には手に負えそうにないMOBなので、大人しく引き下がります。前もって聞いていた通り、私一人では厳しいですから。

 ダンジョンから出ると、先程会ったPTはもういませんでした。とりあえずちょうどいい場所に腰を下ろし、ドロップ品の確認です。

 赤色の結晶は赤色の欠片の上位に位置するアイテムのようで、装備を作る時に使えば属性強さを小にするそうです。二つ目の炎蛇の鱗は、生産に使えるそうですが、よくわかりません。とりあえずは、インベントリの肥やしですね。

 そうでした。エンジャに減らされたHPを確認し、装備の耐久値を確認しなければいけません。全ての装備を確認すると、新しい装備はあまり減っていませんが、以前から使っている装備は休止前に直したばかりだというのに消耗が目立ちます。今すぐどうこうという数値ではありませんが、念のために修理依頼をしておくべき数値でしょう。

 まぁ、今はまだ時間があるので、満腹度を回復させてから湖の方へ行ってみましょう。痛く熱い思いをした足を水に浸したい気分ですし。

 善は急げと湖の方へと山を降り始めましたが、フィールドが山であるうちはホブゴブリンやゴブリンが出てくるようで、いつものようにシャインやシャドウを駆使して山をおります。この辺りの慣れたMOBの対処はルーチンワークですね。

 ホブゴブリンやらゴブリンやらと遭遇しなくなり、足元の傾斜もなくなると、フィールドの雰囲気が変わった気がします。恐らくですが、山から森へと変わったのでしょう。つまり、ここから先、ゴブリンが出てくるのか、はたまた未だ見ぬMOBが出てくるのか、出来れば未だ見ぬMOBが出てきてくれた方が楽しそうですが、どうなるのでしょう。

 ヤタと信楽と共に警戒しながら進んでいていると、いました。ミニマップにMOBを示す光点が表示されたので、注意しながら近付きます。あのMOBが詠唱反応するのかはわからないので、先制攻撃してから追撃する前に識別しましょう。見た目からして鹿のようで、魔力視で見る限り、風属性のようです。まだ識別はしていないので、属性の強さはわかりませんが、まずは炎魔法ですね。


「【フレイムランス】」


 属性がわかっているのですから、安心して三発同時発動をすることが出来ます。そして、背後に注意しながら下がってディレイが終わるのを待ち。


「【メタルボルト】」


 先程のリベンジも兼ねて鉄魔法です。ですが、鹿型のMOBは少し怯んだように動きを止めましたが、吹き飛ばされるようなことはありませんでした。まぁ、弱点を突けないから選んだ属性なので、気にする必要はありません。


「【ライトニングボルト】」


 鉄魔法も雷魔法も、使えるのがランス系ではなくボルト系なのが少し気になりますが、ボール系でも副次効果であるノックバックや行動阻害に変化があるとは思えないので、とりあえずは三倍のクールタイムやディレイのことも考えて、ボルト系にしました。


「ちょっ、近っ【マジックランス】」


 先の六発がランス系だったら終わっていたかもしれませんが、リザルトウィンドウが出なかったのでダメ押しのマジックランス三発です。ボルト系とランス系のクールタイムの違いからフレイムランスのクールタイムはまだ残っていました。ですが、MOBは倒せたので、気にするのはここまでです。

 ええ、鹿の角が突き刺さる寸前だったとしても、突き刺さらなかったのですから、気にしません。

 途中で識別を混ぜておいたので確認すると、【シカジカ】というMOBで属性は風で強さは極小です。今更ですが、この強さ、詳しく見ると属性値という名称があったようです。細かいことを気にしないせいで知らない用語が多いですね。まぁ、困らないので問題ありませんが。

 ドロップ品を確認すると緑色の欠片とシカジカの角が落ちました。

 ふむ、ここでも属性の欠片が落ちるとは、幸先がいいですね。どうせならノーサード付近で茶色い欠片も確保したいものです。ちなみに、シカジカの角は素材ですが、調合でも使えそうな素材ですね。鹿茸なんて漢方も存在してますし、オババに聞けば、教えてくれるはずです。

 それでは湖へ向けて進みましょう。っとその前に一度MPを回復させるために休憩をはさみます。最大MPが減っている影響は凄まじいですが、ヤタと信楽を愛でることが出来ることに比べれば、何の問題にもなりません。

 長めの休憩も終え、先へ進みます。

 シカジカはアクティブなので、発見が遅れたり、近付かれていたりすると、その硬い角による攻撃を受けてしまいます。途中にはさんでいるメタルボルトやライトニングボルトのお陰で勢いを削ぐことは出来ていますが、それでもかなりのダメージです。まぁそこは私が紙装甲ということも関係しているとは思いますが、連戦をしたら確実にHPもMPもゼロになってしまいますね。もう少しで湖ですが、油断せずに気を引き締めて行くしかありませんね。

 湖を目指して進んでいると、水の音が聞こえてきました。どうやらかなり近付いているようです。そして、ひらけた場所に出ると、空気が変わりました。アクティブで警戒範囲内に入ると問答無用で襲ってきていたシカジカが湖の水を飲んだり、何頭かで固まって座っていたりしています。今までとはうって変わってのどかな雰囲気で、現れた表示を見る限り、ここは噂に聞くセーフティゾーンとかいうやつのようです。フルダイブのゲームでは安全性のために基本的にどこでもログアウト出来るようになっています。HTOでは、街中の場合は、プレイヤーの体はすぐに消え、次のログインでは街のポータルに現れます。フィールドの場合は、やっと調べたのですが、ゲーム内時間で30分ほど体が残り、その間はMOBに襲われたり、PKの対象になったり、同じ場所へのリログが可能になっていたりします。けれどセーフティゾーンの場合、フィールド扱いではあっても、体はすぐに消えるそうです。まぁ、ポータルの無い街のようなものですね。ここでは戦闘も出来ないので、ここにいるシカジカはMOBというよりもNPCと思った方がいいかもしれません。

 物は試しと識別してみますが、弾かれてしまいました。NPCに対して識別した覚えがありませんが、MOBのように識別出来ないのであれば、NPC扱いという可能性はありますね。

 とりあえず、その辺の木陰に腰を下ろし、ゆっくりすることにしました。

 そもそもレベリングではなく、避暑地探しなので、ちょうどいいでしょう。ポータルがなく、移動に時間がかかるのも、いい味を出しています。どうせなら釣り竿でも探してくればよかったですね。まぁ、糸と縫い針でもあれば、木の棒を拾って釣り気分を味わえるのですが。

 今日はここでゆっくり過ごします。

 セーフティゾーンでも、リターンの戻る場所は上書きされなかったので、戻るのは楽でした。

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