第7話 ―夢― 十余六<とお あまり むっつ>
ここは、どこだろう。
真っ暗で……いや、もしかしたら光に眩んでいるのかもしれない。
何も見えない。
どうして?
ああ、そうだ。
今日は
光じゃなく、闇に包まれているんだ。
だから何も見えないのは、おかしなことじゃない。
「ずいぶん冷静でいらっしゃる。しかも他の者とは違って頭も良いようですね」
誰……?
そこに、誰かいるの?
「ええ、居りますよ。いつでも貴女のそばに」
でも、私は貴方を知らない。
「思い出せないだけです。思い出す必要もない」
どうして貴方はここに?
「貴女を迎えに」
迎え……?
「……」
迎えって、一体どこに……。
「どうやら、邪魔が入ったようです」
邪魔? 何のこと?
「今日のところは引き下がります。また、いつの日か――」
待って、貴方は……
「この地を……故郷を出てはなりません」
「時が来るまでは留まるのです」
玉髄御前、どちらに行かれるのですか?
「それまでは、私が御守り致します」
「どうか、御息災で」
「どうか……、しあわせに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます