死に急ぐ

人の本性なんてそう簡単に見えてこないよ。

時々くれるキャンディだって、何かの誤魔化しかもしれない。

世の中をしらない私を、いいように騙そうと。

考えれば考えるほど、何も分からなくなっていく。

世の中も、人も、憎くなっていく。

ああ、私に青空は似合わない。


槍が降れば良い。

全てを、全てを貫いて殺してしまって欲しい。

私を、無残に、血塗れにして欲しい。

見開いた目に、赤い月が見えますように。

最期の言葉は、私の愛する人々にだけ届きますように。


いつか死ぬのに死に急ぐ必要はないだなんて言葉は何の慰めにもならない。

死が待てないから、迎えにいくんじゃないか。


その辺を行き交う、本性の分からない人々よりも、

迎えに行く死の方がよほど自分を裏切らないんだ。

その抱擁は何にも替え難い永遠の安らぎなのだ。

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