寂しい懐かしい

ひとりぼっちだったあのころの秋の風は、

爽やかで冷たくて空しかったな。

溶け込んで、どこかに浚われたかった。


つめたいゆか、

くうきのにおい、

やさしくてさわやかですっぱい旋律。

うずくまる自分。

散らばるくすり。

診断書。

はさみ。

包帯。

水。

いぬのぬいぐるみ。

楽譜。


あの頃私を構成していたもの、

いくつかはあの場所に置いてきたけれど。


もう要らない、なんて言いながら、

私はきっと

何度も何度も

帰りたくなって、手を伸ばすんだろう。

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