雨の悪夢

雨のしとしと降る夜は…わざと濡れに出たくなるんだよ。

びしょびしょになりたくなる。

濡れた街に同化したくなるんだよ。


雨の音が響く部屋で、君の名前を呼んだ。

君のお腹にだきつきながらね。

そしたら君はぼくの名前を呼んだ、幸せそうに。

くっついて、一緒にいられるだけで嬉しかったのに、


化けの皮がはがれたら、そいつはぼくが今一番嫌いで目障りだと思っているあいつに変わってたんだ。


どんなにぎゅっとつかんでも抱き寄せてもそこにはなにもない。

鳥籠の中だ。

空も飛べない鳥。


だからぼくは夢を見る。

幸せな夢を。

玩具にかこまれた子供部屋で。


ああ、ぼくには

なにもない

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