第49話
正直な話ですが、ハンザの話を鵜呑みにした訳ではありません。
寂し話ですが、摂政として、王位継承権を持つただ一人の王女として、夫すら疑わないといけないのです。
元々王女王族の義務として、王家と国を護るために結んだ縁です。
私だけではなく、全ての王女王族が同じ苦しみを我慢しているのです。
ハンザが理由にあげた経費の問題だけで言えば、戦争景気で莫大な利益が上がってるので、当面は何の問題もありません。
ホワイト王国が直接戦場になっていないので、費用を利益が上回っています。
ですが、こちらがゲラン王国に攻め込むと、費用が利益を上回ってしまう可能性があるのです。
今はゲラン王国との表の交易は途絶しています。
ゲラン王国の特産品が手に入らなくなり、価格が高騰しています。
開戦直前の仮想敵国ですから、当然の話です。
ですが、この状況を利用して、ホワイト家歴代の忠臣が、密貿易を行っています。
ゲラン王国から密輸入した嗜好品や高級品が、ホワイト王国だけでなく、ドレイク王国とミルドレッド王国でも、貴族や富裕層に飛ぶように売れているのです。
当然同じ状況がゲラン王国とズダレフ王国でも起きています。
ホワイト王国とドレイク王国とミルドレッド王国の嗜好品や高級品は、希少価値が付いて暴騰し、ホワイト家歴代の忠臣が蜜輸出しることで飛ぶように売れています。
特に軍事物資と塩などの戦略物資は、高騰しても買わない訳にはいかないのです。
ホワイト王家は笑いが止まらない状況ですが、この事は誰にも知られてはいけない秘中の秘なのです。
密貿易の現場となっている、ゲラン王国との境目にある城に、ハンザはもちろん彼や私につけられた側近を近づける訳にはいかないのです。
ハンザや重臣有力貴族の意見を退け、ホワイト王家に近い信頼できる者だけで境目の城を護り、密貿易を継続する必要があります。
私が直接赴ければ一番いいのですが、私が行くと私にハンザが付けた側近という密偵が同行する事になります。
私が男なら、無理矢理側近を外す事も可能なのですが、不貞が致命傷になる女はそういう手が使えません。
後の悪影響が大きすぎるのです。
私は父王陛下に境目の城に駐屯して頂くべきか、真剣に悩みました。
父王陛下が万全の状況なら、それが一番の手段です。
ですが、今は精神的に弱っておられます。
それに、各国の王族を側室に輿入れさせる話も進んでいます。
今父王陛下に何かあると本気で困ります。
悩みに悩んで結論を出しました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます