第45話ジュリアン第二王子視点

「ジュリアン王子ィィィィ。

 敵の騎馬隊でェェェェす!

 数はァァァァごせェェェェん!」


 伝令が大声で報告してくれます。

 ズダレフ王国の先鋒でまず間違いないでしょう。

 今までは百や二百の小競り合いでしたが、今回は乾坤一擲の大勝負ですね。

 メイソン殿に少数の兵しか預けず、ゲラン王国の主力軍相手に命懸けの足止めをさせているのです。

 ここで負ける訳には参りませんね。


「王国の興廃この一戦にあり!

 将兵は死力を尽くし、この場に踏み止まれ!」


 騎馬民族の言葉ではありませんね。

 騎馬民族たる者、馬を縦横無尽に操り、臨機応変に戦うのが本分。

 攻めるも逃げるも略奪するも、何者にもとらわれず、素早く移動するから出来る。

 場所に縛られては勝っても損害が多過ぎる。


 だが、今回は損害を無視しなければならない。

 相手は二カ国連合だ。

 中途半端な戦いをしていたら、二カ国の大軍に王都に押し込められ包囲され、逃げる事も出来なくなってしまう。

 それに、そんな事になったら、ゲラン王国の主力を相手に戦ってくれている、メイソン殿が二カ国連合に挟撃されてしまう。


 ズダレフ王国軍がおおよそ十万騎。

 我が軍もほぼ同数の九万騎。

 潰し合って両軍が壊滅したとしたら、王都を包囲するのはゲラン王国軍の十万騎だけになる。

 

 ゲラン王国軍十万騎だけなら、王都に残った女子供だけでも籠城が可能だ。

 それに、そこまでもって行ければ、ホワイト王国がゲラン王国に攻め込んでくれるはずだ。


 ガブリエルとグレイソンの話を聞くと、アルフィン殿は賢明な方のようだ。

 マイヤー王国がゲラン王国に併呑されたら、次は自分達だと十分理解している。

 座して死を待つような馬鹿な真似はしないだろう。


 ミルドレッド王国にしても、ズダレフ王国軍の主力が壊滅したら、山脈を越えてでもズダレフ王国に侵攻したくなるはずだ。

 少数の遊撃軍でいいから、ミルドレッド王国がズダレフ王国に兵を送ってくれたら、ズダレフ王国は第二軍を送れなくなる。


「突撃ィィィィ!」


 先鋒を任したグレイソン叔父上が動かれたか。

 叔父上も失恋から立ち直られたのかな?

 叔父上もガブリエルも、政略による婚約者争いで本気になるなんで、アルフィン殿はよほど魅力的なのだな。

 私も一度会ってみたかったな。


「包み込めェェェェ!」


 ここからでは全体像が見えないが、敵の先鋒は焦ったのか?

 それとも我が軍が焦ったのか?

 包み込まれて乱戦になって味方の援軍がなければ、無用な損害を受けてしまう。

 一方包み混んでいる時に敵の援軍による攻撃を受けたら、我が軍が大損害を受けてしまう。

 頼む!

 間違った判断をしてくれるなよ!

 

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