Scene:45「決行」

 ミュウが目覚めたのは昼過ぎだった。

 腹が空腹を訴えるが、それを我慢して彼女は昨日の潜入の成果を紙にまとめると、それを持って酒場へと赴く

 遅い昼食を頼む傍ら、報告をまとめた用紙を小型カメラの記録を移したUSBメモリーと共に密やかに女将さんに渡す。

 後は彼女の手で上へと情報が渡る事となるだろう。

 それから先は次の連絡があるまで大人しくしているしかない。

 そうして開店準備の時間となり、店へと赴くミュウ。

 どんな反応になっているのか内心、警戒しながら店へと入ったミュウだが、そんな彼女の気も知らず店はいつも通りの動きを見せていた。

 裏側と繋がっている店員達に緊迫している様子はない。

 と、なると潜入は発覚していないという事だろうか。どうやら見張りの件はただの居眠りと思ってくれたようだ。

 そうして慌ただしい日常が過ぎ去っていく。

 今の所、催し物が開催される辺りのシフトも特別変わったところはない。

 全員、いつも通りの体制だ。と、いう事は催し物の運営はそれ以外の面々が管理しているという事になる。

 だから、証拠や判明が遅れたのだろう。

 他に出入口がないと思っていたからこそこの店を見張っていたが、その見張られている店は常にいつも通りの真っ当な運営をしており、ボロが出ない。

 その裏では別の出入口からやってきた面々が催し物を運営しており……という形なので表側だけを見張っていたらバレようがなかったという訳である。 

 ある意味、この発覚は抜け出したマヤの大手柄とも言えるのであった。

 その後、店が終わり酒場へと向かうと、女将さんから武器屋が改装工事を始めるとの話を聞いた。

 恐らくその間に催し物を開催するのだろう。

 それから後日、ミュウは女将さんから、こちらの人員が当日までには揃うという報告を受けとった。

 ミュウは彼らを内部に引き込む手引きとその後、彼らと共に地下へと突入するようにとの事。

 いよいよ大捕物の始まりである。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 そうして催し物、当日……

 店はいつも通り営業していた。

 店長もまたいつも通り店で働いている。

 今日は上客は誰一人店に姿を見せていない。

 恐らく武器屋の方から地下へと入っているのだろう。

 予想通りの対応であった。

 その事実を再確認しながらミュウは時間を何度も確かめる。

 もう時期、言い渡されていた時間だ。

 スタッフに断ってミュウは裏手を離れる。

 向かうのはトイレではなく、とある部屋。

 時間通りにそこの窓を開けると、途端に次々と黒ずくめの人物達が入ってきた。

 彼らはヒストゥーに所属する味方だ。

 侵入した彼らはそのまま部屋を飛び出すとすぐさま手近な敵に銃撃を仕掛ける。

 既に事前に店の人間に関しての情報は送っており、誰が敵なのかわかっている彼らは確実に敵だけを射撃して無力化していく。

 悲鳴が建物内に響き渡った。

 謎の襲撃者に驚き混乱する客と一般店員。

 一方、見張りなどの戦闘組と裏の顔も知っている店員達は即座に襲撃者に対応しようと銃器を持ち出して対応に乗り出す。

 交わされる銃撃戦。今頃、武器屋の方でも同様のやり取りが交わされているのだろう。

 出入口を潰し、逃げ道を封じての奇襲。上は完全に店側も客側も一網打尽にする気なのだ。

 この間にミュウは着替えてシュウに戻る。

 そうして侵入した味方が残してくれた装備を身に纏い、彼らを追い掛ける。

 現在、主戦場はステージのあるホールであった。

 いつもはミュウとして歌っていた広い空間は、今やテーブルや柱などを盾にして両者、撃ち合いを繰り広げている戦場と変貌していた。

 場はこう着状態。だが、敵の方は奥から奥からどんどんと増援がやってきており、この事態を打開するためにシュウは戦場の中へと飛び込んでいく。

 異能で身体から発する音を消して死角から回り込んだ。

 味方がいる方向とは違うところから入った為、敵はシュウにまだ気が付いていない。

 そのまま彼は敵陣に飛び込み、抜いた短剣を振り抜いた。

 四方八方に敵。だが、相手は同士討ちを恐れて射撃を一瞬、躊躇ってしまっており、その隙を逃さず次の敵へと襲いに掛かる。

 そうして短剣を次々と振るっていく。

 シュウが敵をかき乱している間に味方達も一気に攻めかかる。

 彼を誤射しないよう距離を詰めて倒していく味方。

 陣形を崩され態勢の乱れた敵は立て直せない。そのまま一部が撤退。撤退できなかった敵は地に伏せるか、両手を上げて投降を求めた。

 現場は残した味方に任せて一同はVIPルームの扉へと急ぐ。

 恐らく扉の向こうでは敵が待ち伏せているはずだ。

 扉を開ければその瞬間、飛んでくるのは鉛色の銃弾。なので、扉を僅かに開きシュウが声を発する。


「打つな!! 俺だ!! 入れてくれ!!」


 出てきた声色は先程戦っていた際に発された敵の声。

 それで敵が見に回った。

 即座の射撃が飛んでこない事を確かめてシュウがスモークグレネードを室内へと投げ込む。

 膨れ上がった煙が室内を飲み込んだ。

 味方だと思っていたところからの突然の煙に混乱する敵達。

 その間にシュウは室内に侵入。異能で敵の位置を把握すると、そのまま投擲と短剣で音もなく敵達を仕留めていく。

 うめき声で敵が仕掛けてきている事はわかっている敵達だが、大まかな位置しかわからないので射撃を撃つ事ができない。

 一方のシュウは敵の位置がわかる。

 まさに一方的な殲滅であった。

 そうしてシュウは室内の掃除を済ませると味方を中へと引き入れ、さらに先へと進んでいく。

 しばらく進むと見張りの立っていた大きな扉の所までやってきた。

 反対側からは武器屋から突入した味方の姿。

 そのまま彼らは扉を蹴破りエントランスへと繰り出す。

 扉が蹴破られた音にエンランスで一息吐いていた客達が驚く様子が視界に映る。

 どうやら客達には騒ぎを知らせていないらしい。

 驚き固まった彼らを味方が手際よく拘束していくのをしりめにシュウと他の味方はさらに奥へと歩みを進めていく。

 関係者通路は他の味方に任せ、彼が行くのはステージの方。

 扉を開くとそこには……熱気が広がっていた。

 値段を叫ぶ男達。

 ざわめきと密談がそこかしこからひしめき合い、そのせいで背を見せている客達は背後のシュウ達に未だ気づいていない。

 だが、当然ながらステージ上の主催者側の人間は彼らの入室に気付いていた。

 そもそも、運営側の人間である以上、戦況は逐一報告されていたはずである。

 従って迎撃への動きもスムーズだ。

 迷うことなく腰のホルスターから拳銃を抜き出しシュウ達を狙う。

 銃撃戦が始まるまで一秒も掛からなかった。

 数発の鉄の雨が行き交い、その事実を持ってようやく客達は事態に思考が追いついた。

 己の身を守るために身を伏せつつ、自らの護衛に事態の打開を命令する。

 一気に増える迎撃の人数。そんな彼らの気勢をそいだのはシュウの指を弾く音だった。

 弾く音が異能によって大音量で室内に響き渡り、そのあまりの煩さに敵味方の射撃が止んでしまう。

 仕掛けたシュウ自身はその音を己の異能でシャットしている為、怯むことがなく、その為、即座に次の行動にありつけた。

 迎撃の為に立ち上がり固まっている敵達を己の銃で次々と仕留めていく。

 敵はまだ態勢を立て直せていないが味方側は事前に知っていた分、回復が早い。

 お陰で戦況はシュウ側優位へと傾いていった。

 が、そう簡単にいかないのが現代の戦闘。

 いくつかの椅子が浮かび上がりシュウ達に襲い掛かってくる。

 椅子の一つがシュウの元に飛んできて、シュウは横へと飛び込む事で回避した。

 回避に成功したシュウだが、椅子のいくつかは味方に叩きつけられる。

 そこにさらに突風が襲い掛かってきた。

 身体を浮かしそうなくらい強烈な暴風に巻かれた数人がタタラを踏んでいる。

 これらによって先程までの勢いはすっかりと萎え、状況は再びイーブンに……

 状況が変わった事を感じたのか、敵側が勢いを盛り返してきた。

 そんな彼らに一つ牽制を掛けようとするシュウであったが、直後、耳に届いた衝撃音によってその行動は中止せざるを得なくなった。

 轟音と共に先程彼がいた場所に大きな窪みが生まれる。

 へこんだ床。それを生み出したのは店が雇った傭兵の青年だ。

 飛び蹴りを繰り出した彼の足裏が床へと触れた瞬間、轟音と共にへこんだのだ。

 そこから彼の蹴りの威力を測る事ができる。


(……今……)


 その威力を確かめながら己の記憶を反芻するシュウ。

 彼の耳が確かなら飛び蹴りが繰り出される直前、同レベルの音が聞こえたような気がした。

 これらの事実から推測できる青年の異能は『肉体周囲を発生範囲とした衝撃の発生』だ。

 発生範囲が肉体周囲だと限定できたのは初手の攻撃手段が格闘攻撃だったからである。

 離れて放てるならば初手の攻撃が接近からの徒手空拳になるはずがない。十中八九遠距離攻撃から始まるはずである。

 恐らく主な使用方法は跳躍や移動の際に足元に衝撃を発生させて己を加速させる手法。

 後は打撃や蹴りに合わせて衝撃を発生させる事で威力を上乗せさせるといった方法だろう。

 装甲車をへこませたと言っていたから威力の方は高め、一撃でも直撃を貰えば骨折は免れない。

 合計三人の異能者が前に出る。

 後ろには傭兵を含んだ武装した男達。その中には顧客が抱えている異能者もまだいるはずだ。

 体勢を立て直しつつある彼らを見やりながらシュウはさてどうするかと考える。

 と、今度はこちら側から土の針が生えた。

 床を突き破り、敵へと目掛けて襲いくる巨大な針。

 敵達が方々に散って回避する中、味方側から幾人かが飛び出す。


「よっしゃあ!! 俺様の出番じゃあ!!」

「……地下なんですから、生き埋めにならないように気をつけてくださいよ……」


 歳はシュウより年上だろうか。

 活発そうな青年と眼鏡を掛けた青年がその先頭に立っている。

 と、眼鏡を掛けた青年が敵を一瞥。

 その途端、追加で土の針が飛び出てくる。どうやら先程の攻撃は彼の仕業らしい。

 床を突き破り足元から襲い掛かる殺意に敵は必死に避けるしかない。

 何せ足元からの奇襲だ。攻撃に気が付いた時には攻撃の先が届き掛ける以上、反応の遅れは負傷に繋がる。故に避ける事に意識を回さざるを得ない。

 疎かになる周囲への注意。

 そこに活発そうな青年の異能が炸裂した。

 周囲に火の玉が現れる。

 出現した火球は全部で八つ。それらがそれぞれの方向へと飛翔する。

 直後、八つの花が咲いた。

 赤い花弁を撒き散らす火球。その衝撃で床が砕け瓦礫と変わる。

 他にも砕けたのはテーブルや椅子……しかし、それらは突如空中に差し込まれたものだった。

 突風が襲い掛かる。しかし、迫ってきたそれらを大地の針が群れ壁となって遮る。


「お、やろうってか。いいぜ!! 相手になってやる!!」

「この突風使いは私が……他の異能者は任せます」


 張り切る活発そうな青年と他の者達に己の対応相手を告げる眼鏡の青年。

 そうして戦いは異能者を中心としたものへと変わったのであった。

 雷光が瞬き、影が踊る。

 動物の石像が蠢き、それを重力が押し潰す。

 とても人の手で生み出されたとは思えない異様な光景。

 しかし、現代の人の世はこの光景を容易に生み出せるようになっているのだ。

 人によっては地獄絵図と呼びそうなそんな情景の中、シュウは密やかに駆け抜けていく。

 戦況は異能者を主役とした乱戦へと遷移し、敵味方が入り乱れている。

 無論、誰もが横槍を恐れて周囲への警戒を怠っていないが、それは自身を狙う者達への話である。

 己を狙わぬ者は警戒する余裕は彼らにない。

 だからこそ、シュウはその隙間を潜り抜ける事ができたのだ。

 彼の目標はこの催し物を開催し、異能者の売買の責任者を捕える事。

 この場は他の味方に任せる。

 直接的な攻撃力を持たない彼の異能は直接戦闘には向いていない。

 正面を向き合った正道の戦いでは『少し耳のいい兵士』程度の強さしかないのだ。

 だからこそ、異能によって増幅された彼の耳が自分に向けて跳躍する足音を捉える。

 シュウの後方の床がクレーターを作った。

 後ろを見なくても誰の仕業なのかはわかる。

 あの青年の傭兵だ。

 どうやらシュウをターゲットとして捕捉したらしい。

 気取られて狙われないよう音を消し、重なる間合いの隙間を抜い、身を低くして移動していたが、こうなれば意味がない。

 倒すまで付き纏われる事になるだろう。

 とはいえ、相手は攻撃力を持つ異能。加えて移動にも使えるとなると正面から相手するのは分が悪い。

 これが気が付かれていない状況なら奇襲で済むのだが、叶わない状況を考えても仕方がない。

 再び青年が一気に距離を詰めてくる。

 軌道上からの退避。それでシュウは青年の一打を躱した。

 大気が爆ぜる。肘打ちの先で青年の異能が行使されたのだ。

 生じた風に髪を撫でられながら、シュウは引き抜いた拳銃で敵を狙う。

 瞬間、青年は右へと飛んだ。

 反射的に銃口が右へと追いかけ、直後、轟音と共に青年の身が左側へと翻る。

 銃口が追いきれない。即座に射撃を諦めて飛び込むように右へと飛ぶシュウ。

 その判断が彼の命を繋いだ。

 青年の異能によって加速された飛び蹴りがシュウの先程いた場所を通り過ぎる。

 風を感じながら身を起こし走り出す。

 相手の方に視線は向けない。向ける必要がないからだ。

 耳に飛び交う様々な音の中で青年から発していると思わしき音は常に捕捉し増幅し続けている。

 その音が青年の位置と動きをつぶさに知らせ続けていた。

 青年の大きく息を吸い込む音が聞こえる。

 大きく力を入れて為の前動作。その音でシュウは相手が一気に距離を詰めてくるつもりだという事を悟る。

 選んだ回避先は見知らぬ誰かが戦っているその影。

 間に敵と味方が入り、そのせいで青年は一直線に飛び込めない。

 舌打つ青年。一方のシュウはその間にベルトから暗殺用の針を抜き、間にいるその敵へと密やかに投擲。

 シュウの存在に気がついてなかった敵はその無警戒故に一針で戦闘不能に陥った。

 針の管から血を吹き出しながら崩れ落ちていく。

 呆気ない最後に味方が驚くが、一撃を入れたのがシュウだと気がつくとアイコンタクト一つで次の敵、シュウが戦っていた青年に向けて炎の槍を生み出して投じる。

 炎の槍は青年の居た場所に突き刺さると爆発。

 己の異能の加速で回避した青年は立て直すと同時に異能で攻撃者に接近。その脇腹に掌底を見舞おうとした。

 しかし、そこに針の群れが襲い掛かる。

 投手は無論、シュウ。

 視認し辛い程に細く小さな針の攻撃は視覚で捉えにくく、加えて無音で投じてくるので気がつくのも至難だ。

 舌打ちは一つ。それで青年は掌底の先を針へと変え衝撃で針を全て打ち落とした。

 遅れて味方が青年から距離をとる。

 シュウはというと既に無音で回り込んでいる最中だ。

 青年はシュウを見失わないように視線で追いかけているが、味方の方も無警戒という訳にもいかない。

 それがシュウの優位な点。再び拳銃を引き抜き引き金を引いた。

 青年が避けるが、それは織り込み済み。彼の傍を通り過ぎて銃弾はそのままその先の別の敵の首元に穴を作る。

 音で周囲を把握する事に慣れているシュウは戦いながらも周囲の状況はしっかり把握している。

 この別の敵へのヒットも狙ってやった事。

 敵が倒れた事で手すきとなった味方が別の敵を探して駆け出す。

 それで青年はシュウの事を自由にしては危険な敵だと認めた。

 シュウの銃撃を避け、炎の槍を持って接近戦を仕掛けてくるシュウの味方を衝撃付きの掌打で吹き飛ばし一気に間合いに捉えようとする。

 しかし、捕まらない。軌道上から何度も逃げられ、気がついた時には間合いの外。

 それで青年はシュウが踏み込みに合わせて、そのライン上から即座に退避している事を悟った。

 シュウが急接近のラインとタイミングを見切っているのは直前の深呼吸と足音からだ。

 踏み込む為の溜めと己を飛ばす反動に耐える為に行われる食いしばりの為の息継ぎ。

 そして己の身を飛ばす為の蹴り足はその音から方角を絞る事ができる。慣れてくればその速度も距離も……

 既に数度、聞いた。お陰で情報が集まり、回避が容易となった。

 青年が決着を急ぐ。自身の手管が徐々に見切られている事に気がつき焦ったのだ。

 衝撃での加速の連続で左右に翻弄しながら迫ってくる青年。だが、その動きもシュウは見切っている。

 次に飛んでくるであろう地点に銃口を向け、蹴り足の音に合わせて修正、直後に発砲する。

 青年の身体を鉛玉が貫いた。

 弾は背中を貫通して青年が崩れ落ちる。

 シュウはその後を確かめない。

 死のうが生き残ろうがどうでもいいからだ。

 大事なのは邪魔する者が消え、自由に動けるようになった事。

 助けてくれた味方にお礼のジェスチャーを送って、シュウは駆け出す。

 道中、無警戒の敵には針を投じて、すれ違いざまの場合には短剣で首を掻っ切る。

 そうしてステージに上がり、さらに奥へ。

 扉を開けるとそこは潜入の時に見た通路だった。

 眼の前には前回、潜入した装飾の施された扉。

 と、前の時、自分がやってきた通路の方から銃撃戦の音が響いてきた。

 どうやら関係者通路からやってきていた味方と遭遇してドンパチが始まったらしい。

 その音を頼りに戦闘場所へと向かう。

 異能による反響で敵の位置は把握済みだったので、立ち止まる事なくそのまま飛び出し無警戒の背後から次々と撃ち抜いていく。

 敵は五人。四人が戦い、最後の一人は物陰に身を伏せていた。どうやらその伏せていた人物がこの奴隷商のボスらしい。

 その人物を見てシュウは驚いた。なんと奴隷商のボスは女性だったのだ。

 銃口を突きつけられて両手を上げる女性。

 その頃には向こう側にいた味方がこちらへと駆けつけるところだった。

 すぐさま拘束される女性。

 痛いと文句を言う女性だが、味方はお構いなしに連行していく。

 後は情報を吐かせる事を得意としている者達が彼女の口から情報を吐き出させるだろう。

 催し物に参加していた顧客達も全員を捕まえる事に成功し、さらには資料も回収する事ができた。

 この資料があれば勢力圏内の危険人物を把握する事が可能になる。

 上々の結果にヒストゥーとしては満足だろう。

 かくいうシュウも十分な戦果にこれまでの努力が報われたような気分となっていた。

 のしかかってくる疲労を振り払うように伸びをする。

 背筋が伸びるのと同時にスッキリとする頭。

 こうしてシュウ達、ヒストゥーは己の勢力圏内で暗躍する奴隷商の一つを潰す事に成功したのであった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Scene:45「決行」:完

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