第598話 消滅
「今度はなんだっ!?」
物体が二つに分裂したことに、兵士達はもう頭の処理がおいつかずどうすれば混乱を極めていた。
「くそっ!本当に最悪のパターンになったっ!」
そんな中、康生は全方位に繰り広げられた攻撃を全て吸収しつつ、すぐに次の攻撃に備えて移動しようとしていた。
「皆さん聞いて下さいっ!あの物体に魔法の攻撃をすれば全て吸収して力に変えられます!なので魔力は絶対に使わないで下さい!」
攻撃が終わると同時に、エルがすぐに国王や兵士達に指示を出した。
あの物体は先ほどの戦いと同様に、魔力で攻撃すれば全て吸収されてしまう厄介な代物だ。
だから当然、魔法での攻撃は出来ない。
かといって直接本体に物理攻撃を加えようとすれば、たちまち魔力の密度にやられて体が消滅してしまうだろう。
だからこそあの物体は普通ならばどうしようも出来ない災害なのだ。
「でもあいつの攻撃自体は魔法で防ぐことが出来るぞっ!」
そんな中、康生は唯一の対抗手段を提示した。
「だ、だがっ本体を攻撃出来ないのならばどうしようもないではないかっ!」
だが国王は本体を攻撃出来ないということで、より一層不安にかられたような顔を浮かべた。
確かに本体に攻撃出来ず、ただ攻撃を回避し続けるだけでは何も出来ない。
「大丈夫だっ!あいつは魔力がなくなれば自然と消滅するっ!」
「な、なるほどっ……」
康生の言葉で唯一、物体を倒す方法を聞かされて皆は僅かだが希望を見いだす。
「だけど非常に不味いことになったっ!あれが分断してしまった以上、恐らくもう片方はすぐに異世界に向かうぞっ!」
二つの物体に分かれたそれを見て康生はすぐに忠告をする。
だが、
「いやっ!異世界だけじゃないっ!」
そんな康生の言葉の後に続いて、すぐに訂正するように上代琉生が叫んだ。
「今、人間達も同じように魔力を使える!つまり体内に魔力を宿してるってことだ!つまり狙いは異世界だけじゃないっ!」
「なっ……!?」
その言葉に人間達は一斉に動揺した。
そしてそんな上代琉生の言葉を裏付けるように、二つに分かれた物体の片方が再び分裂をはじめた。
「くそっ!させるかっ!」
康生はすぐにそれを止めようとするが、あいにく今の康生には魔力を止める魔道具がない。
「康生っ!」
そんな無謀とも思える特効に思わず、エルが康生の名前を叫んだ。
「俺なら大丈夫っ!」
康生はそう言うとすぐに物体に接近し、その手で物体を殴りつけた。
「よしっ!いけるっ!」
物体に触れれば消滅すると思われていたが、しかし康生の腕は消滅することなく、確実に物体にダメージを与えているように思われた。
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