第503話 爆散

『康生大変!突然戦場に巨大な雷の化け物が現れたのっ!』

 耳を疑う事実に康生達は思わず固まってしまう。

「ど、どういうことだ?あいつは消滅したはずじゃねぇのかよっ!」

 一番先に反応したのはザグだった。

 自身の目で敵が消失をしたのを確認したこともあって、再び現れたことが信じられないのだろう。

「でも事実、あいつが向こうに現れているってことはそういうことだ。ここで倒しきれなかったか、それともまだ他にもいたのか」

 信じられないことでも、実際に起こってしまったのだから信じる他ない。

 康生はすぐに次の行動を考えるため、奈々枝に視線を向けて指示を仰ぐ。

「そうですね。とにかく兵器を破壊後、すぐに向こうに加勢しましょう」

『分かった!じゃあそれまで頑張る!』

 康生達が応援に来るということで、エルはすぐに現場を支える為に無線をきる。

 恐らく、あの物体に多くの者がやられたのだろう。

 そしてその中には恐らく敵兵も……。

「とにかく俺は先に向かってるぞっ!兵器の破壊はお前達に任せたからなっ!」

 いてもたってもいられないのか、それとも自身が取り逃がしたのだと感じているのか、ザグはすぐさま敵の元へと移動しようとする。

「うん。お兄ちゃん達はすぐに向こうに合流して。兵器は英雄様さえいればすぐに破壊できるから」

「おうっ!」

 ザグはすぐに異世界人達をつれてエルの元へと移動を開始した。

 奈々枝は部下達に指示を出した後、康生と共に兵器の破壊へと移る。

 兵器の破壊自体は簡単なものだが、大きさが大きさが。

 とはいえ『解放』の力を使ってしまえばそれも造作もない。

「お前もすぐに向こうに行った方がいいんじゃないか?」

 兵器へと向かう途中、この場に残った奈々枝に康生は疑問をぶつけた。

「念のため兵器がなくなるのを見たくて。それにさっきから嫌な予感がするから、少し考えを整理する時間が欲しかったの」

「確かに俺も違和感はなんとなく感じる」

 とはいえ、いつまでも考える時間はない。

 向こうの戦場も気になるのですぐにでも移動しないといけない。

「まぁ、とにかくすぐにこれを壊して向こうに戻るぞ」

「うん、お願い」

 兵器の前に立った康生は一時的に『解放』の力を発動させる。

「はっ!」

 一撃。康生が打ち込むだけで兵器にヒビが広がっていき、一瞬のうちに粉々になってしまう。

「よし、じゃあすぐに……」

 兵器が破壊されたのを確認した康生はすぐに戦場に戻ろうとする。

 だがその寸前、康生は咄嗟に奈々枝を抱えてその場から移動する。

「ど、どうしたんですかっ?」

「敵だっ!」

 その瞬間、康生が先ほどいた位置が大きな音と共に爆散するのだった。

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