第448話 魔導具

「なっ!?」

 視線を向けた先では大きかった竜巻が細く、そして鋭くなっていた。

 そしてそれはまっすぐ康生に矛先を向けていた。

「くそっ!」

 あれだけの魔法を操作するとなれば、相当な魔力が必要だ。

 あの中心にいる隊長達はすぐにでも死んでしまいかねない。

 しかし隊長達にとっては、だからこそ確実に康生を殺そうとしているのだろう。

 竜巻の中心ということで、身体的なダメージはあまり食らってないようだが、それでもこのままでは魔力が先に尽きてしまう。

 すぐにでも救出しなければならなかった。

「迷ってる暇はないっ!」

 迫ってくる灼熱の竜巻を見上げながら康生はつっこむ。

「はっ!バカか!貴様自殺する気かっ!」

 そんな康生を見て、剣の男が声をあげる。

 しかし今はそちらに反応している余裕は康生にはなかった。

(見たところこの魔道具は使えそうだな)

 灼熱の竜巻に突撃しながらも康生は懐から二つの魔道具を取り出す。

 それは先ほど銃と鞭の隊長に使ったものだった。

 効果としては敵の魔力を封じる力があるものだ。

 今回、敵が魔法を使ってくると聞いて急遽作ったものだったが、思った以上に効果を発揮してくれていた。

「これされがあればどんな魔法でもっ!」

 そしてもう一つの効果。これが本来の効果ともいえるものだ。

「はっ!」

 魔道具を灼熱の竜巻に掲げる。

 するとその瞬間、竜巻の一部が消えてなくなってしまう。

「今だっ!」

 魔道具の力によって灼熱の竜巻を構成する魔力を止める。

 それにより一時的ではあるが、灼熱の竜巻に隙が生まれる。

「なっ!?」

「貴様!何をっ!?」

 すると中で魔法を酷使していた隊長二人が康生を見て驚愕の表情に染まった。

「ひとまず眠ってもらうぞっ!」

 隙をついている内に行動を開始する。

 瞬時に隊長達に向かって進み、魔道具を使う。

「「うっ……!」」

 すると先ほどのように隊長達はそのまま意識を失う。

 それと同時に周囲の地形を蹂躙していた灼熱の竜巻が消えてなくなる。

「またお願いしますねっ!」

 そして消失すると同時に、康生は再び二人の体を空に投げ飛ばす。

「貴様ぁっ!」

「あぶねっ!」

 作業が終わると同時に剣の男が突撃してくる。

「あとはお前だけだっ!」

 しかし康生は瞬時に回避する。

「たとえ私一人になっても絶対に貴様を死ぬまで諦めんぞっ!」

「くそっ!」

 一番最後に残していたが、やはり剣の隊長が一番やっかいのようだった。

 雷のように光速に移動しているため、動きをとらえるのが難しい。

 それに『解放』の力はもう長くは使えない。

 だからこそすぐに終わらさなければならないのだが、

「そこだっ!」

 すぐに決着をつけるために康生は魔道具を取り出したが、剣の男がそれを見て攻撃を仕掛けたきたのだった。

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