第426話 連絡

「何っ!?敵の本隊がいないだとっ!?」

 無線で報告を受けたリナさんは驚いたように叫ぶ。

 あれから上代琉生は、奈々枝の捜索も含めて部下に指示を出したのだが、結局成果は何一つなかった。

 全く足取りがつかめないまま康生達の元に戻った上代琉生だったが、増援が幾度となく攻めてきていることを聞いて驚いた。

 少なくとも、近くにそんな人はいなかった。

 中央都市から全方位にかけて部隊を派遣させたのだからそれは間違いのないことだ。

 なのに増援が来ているということで、上代琉生はリナさんに意見を求めているのだった。

「奈々枝の件も気になるが……、やはり一番は増援がどこから来ているのか。という問題だな」

「そうですね」

 敵の姿がないのに一体どうして増援が何度も来ているのか。

 やはり今一番の問題はそこだった。

 それと同時に、その問題を解決することで少なくとも敵の戦力がいる位置が判明することになる。

 少しでもこの不可解な状況を打破する為に、真っ先にこの問題に取り組まなければいけないのだ。

「少なくとも上空で監視している以上は、敵は地上から徒歩で歩いてきているぞ」

 しかしリナさんの情報によれば敵は地上から来ているということになる。

 だが地上は全て上代琉生の部隊が探索をしているはず。

「分かりました……それでは一度戻るように指示を出しましょう」

 そう言って上代琉生は自らの部下に再度戻るように指示を出す。

 リナさんの話が本当ならば敵はすでに探索が終わったはずの地上にいるはず。

 ならば部隊が戻る時には増援の居場所をつかめるはずだが……。

「おかしいな」

 だがそこで不可解なことに気づく。

「どうした?」

 リナさんはそんな上代琉生の声に聞き返す。

「いや、指示を送った場合は返事を必ず返すようにしているだけど、一部返事が返ってきていない」

「……つまりその位置に何かしらのトラブルが生じたということだな。奈々枝も恐らくそのトラブルに巻き込まれたのだろう」

「トラブル……」

 奈々枝と同じような状況ということもあり、それから上代琉生とリナさんは話し合い、その結果、部隊とともに兵士の一部を同行して消息不明の部隊の元へと向かわせた。

 当然その中には上代琉生も同行する。

「これで何かしらの手がかりがあればいいが……」

 そう呟きながら上代琉生を含めた部隊が旅立とうとする。

 しかし、その時上代琉生に一通の連絡が入った。

「……ん?」

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