賞金学園〜この中に黒鴉がいる〜

お花畑ラブ子

第1話 不良にからまれたら

「どこに目をつけとんじゃボケーッ!!」


食堂にて、不良が騒ぎ出した。絡まれているのは、黒髪に丸いメガネの男子生徒。対して不良の方は、モヒカンに筋肉隆々の身体という世紀末感満載の二人。いくらこの学校の制服が自由といっても、さすがに上半身全裸と言うのはいただけない。


「おうおう、この方は暴走族ドラゴンヘッドの頭 鬼頭 龍さんだ!頭がたけぇ」

太った彼に対して威張りちらす。


「新入り〜聞いて驚け!見ておののけ!龍さんの懸賞金は100万だ!」

腕につけたリングをこちらに見せると、そこから宙に懸賞金額が投影された。


「100万!君が!?」

絡まれていた方の男子生徒は大いに驚いた。


「は、やめろやめろ、みっともない」

と言いつつも、まんざらではなさげだった。


「道を空けて、食いもんよこしな。どうせ大した懸賞金額じゃねーんだろ?」

子分が彼に迫る。同じようにつけた腕のリングを覗き込む。相手を完全に小馬鹿にしたような表情だったが、リングを見た後に次第に顔が青ざめていくのが、わかった。さすがに鬼頭も事態がおかしいと気づく。


「君たちの懸賞金がその程度で威張っているのだと思うと驚きを禁じえないよ」


絡まれていた彼はそう言うと、眼鏡を外し、髪をかき上げた。


「あ、あんたは、まさか」

「噂の懸賞金4000万の転校生」

「だったら?」

ひぃいいいい!!2人して相手は一目散に逃げていった。いやー痛快痛快。転校生様様だな。ぺりぺりとリングの表面に貼ったものをとる。

彼のリングが更新されて、プラス50万された。懸賞金54万と表示される。

「さてと、そろそろのし上がっていこうかねぃ」

食堂をぐるりとを見回す。ことの成り行きを見ていた者たちが確かにいた。だが今やその目はどこに行ったのかもわからなくなっていた。この、学園の本当の実力者たちだ。

少年はニヤリと笑って食堂を後にした。

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