第21話 ビンの音

街中は雑踏が激しかった。割れるような頭を抱えてアパートに戻ると、綺麗に洗ったジャムのビンが、蛍光灯を浴びて光っていた。僕は虚ろなまま指先でビンを掴み、そのビンの口を耳に当てた。何も聞こえなかった。ただ優しい無音が僕を包んでくれた。深い安堵感に満たされて、僕は冷たい床に座り込んだ。

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