物語のない140字作品集 1

スエテナター

第1話 バス停

バス停の看板は背の高いコスモスに囲まれて半分隠れていた。屋根もない、ベンチもない、ただ看板だけが立つ、簡単なバス停だった。青空が高い。眩しい雲が浮いている。赤いバスが車体を揺らしながらやってきて、老婆を乗せた。排気ガスを吹き出し、町へと走っていく。コスモスが揺れた。看板を撫でた。

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