看病
愛沙が風邪を引いた。
「ごほっ……康貴……うつるから……」
「こんな時に気を使わなくて良いから寝てろ」
おじさんは休みを取ったばかりで仕事へ、母さんたちはキャンプでは足りなかったらしく2人で旅行に行ったばかりだ。
「大したことないから……」
「39度は大したことあるんだよ! いいから寝てろ!」
「ごほっ……ごめん……」
◇
『康貴にぃ助けて』
まなみからのメッセージが来たのは昼過ぎだった。何事かと思って電話したら泣きそうな声でまなみがこんなことを言った。
「お姉ちゃん……しんじゃう……」
「えぇ?!」
「ごほっ……ただの風邪で勝手に殺さ……ケホ……ないで」
電話の奥から愛沙の声がか細く聞こえた。
「なるほど……今から行くからまなみは愛沙がふらふらしないように寝かしつけといてくれ」
「うん! 早く来てね? 康にぃ……」
「私は別に……けほ……大丈夫なのに……」
◇
というわけで高西家にきた。
愛沙が体調を崩すのは久しぶりだったらしくまなみのほうが心配になるほどオロオロしていた。
「落ち着け」
「うー……うー!」
落ち着かないようで俺に頭をこすりつけるように頭突きをしてくる。地味に痛い。
「けほ……ごめんね……康貴……」
途中で買ってきた栄養ドリンクとスポーツドリンクを与え、熱冷ましをはる。
「いいから寝ててくれ。りんごも買ってきたからちょっと台所借りるぞ」
「うん……」
愛沙の頭に軽く触れてその場を離れる。
「康にぃが来てくれて良かったぁ……」
「まなみ1人でも看病出来るようになってもらうからな。今回ので覚えとけ」
「はーい……お姉ちゃん、すぐ戻るからね」
台所までまなみと一緒に降りてりんごの準備をする。ばたばたと皿やらスプーンやらをまなみに準備させながらりんごをすり下ろす。意外に疲れるなこれ……。
「はちみつ入れてみたけど、どうだ?」
「んー?」
スプーンを渡そうとまなみに向けるとそのまま口を持ってこられてくわえられた。
「もうちっと甘くてもいいかも?」
「でも食べるの愛沙だぞ?」
「お姉ちゃん、結構甘いもの好きだよ?」
そうなのか……。紅茶を飲むときも砂糖は入れたりしてなかったから甘いのは控えてるかと思ってた。
「じゃ、もうちょい入れるか」
「あーん」
「いや……」
「味見は大事!」
結局3回はちみつを足した。3回まなみにあーんをさせられたということでもある……。
まぁ不安そうにしていたから甘えたくなった、ということにしておこう……。
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