第26話 山口晴樹

死んだと思ったが死んでいないらしい。


誰かが俺の襟を掴んで引き起こした。


志村だ。

『お前か……っ!』

充血した目はさながら鬼の形相だ。


『お前がラブを撥ねたんだな…!ウチのラブを…!』


何を行っている。頭を打ったか?

ラブってなんだ?


…犬か?

お前の犬だったのか?あの小型犬は。


首根っこを捕まれ、向けられた先にはドラレコの画面があった。

薄暗い中俺の車が小型犬を撥ねているシーンがあった。


違うんだ。

声は出せないが聞いて欲しい。


あれは、お前の息子がわざと車の前に放ったんだ。

美希も証人だ。


言葉が出ない。



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