第6話 山口晴樹
しつこい。実に執拗だ。
なんの使命感か分からないが、それもここまで来ると鬱陶しい。
『車で横になるだけでもいいんじゃないですか?』
と、志村。
ナイスだ。ナイス提案だ。
が、しかし
『その横になってる間に病院行っちゃった方が良いでしょう?』
と、中里も折れない。
何故だ。何がお前をそうさせる。
俺がお前に何かしたか?
親切もいきすぎれば迷惑に変わる。
いや確かに俺は他人を見下しがちだと妻にも言われたが、そんな気配など気取られないよう、この家に越してからは気を張ってきた。
と言うか、言ってしまえば見下ししているのはどちらかと言えばこの志村誠だ。
まるで父親、夫としての威厳など感じない。
介護士だ?よく我妻を働きに出せるな。
女を外に出すことの弊害を考えもしないようだな。
そんなだから実際にあんたの妻は……。
『じゃあこうしましょう。僕が医者を連れてきます。』
志村が素っ頓狂な提案をした。
『昭和ならまだしもそんな暇で人情味溢れる医者がいますかね?』
と中里。そら見ろ、この言われようじゃないか。
さっきの閃きは何処へ行った。
『あ、なんで気が付かなかったんだろう!』
織絵が声を上げる。
怖い、やめろ、何となく言ってくれるな。
『救急車呼びますか!?』
俺はまた催した。
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