(14)
が、しかし――
「もちろん、すべて覚悟の上です。なにしろこの髪の色はすぐに元に戻りませんので」
リナは美しい金色に染まった髪をさわりながら言った。
「薬を調合した宮廷魔術師の話では、効果は
「どうしようもないなら、なおさらお城に引き返してください!」
僕は強い口調で言った。
「一緒になんてとても行けません!」
「申し訳ありませんが、お断りします。ユウトさん、これまでにお互い何度も危険な目に合ってきたのに、いったい今さら何を心配するんです? それにユウトさんも一人より二人の方が心強いでしょう」
そういえばハイオークと戦った時も、リナは僕を馬に乗せて走ると言って一歩も引かなかったな……。
うーん、困った。
どう説得すれば、素直に帰ってくれる?
と、困る僕に、リナが不思議そうな顔をして質問した。
「――ところでユウトさん、さっきから気になっていたのですが、その手の中で光っているものは何なのでしょうか? その四角くてうすべったい板のことです」
……しまった。
リナの突然の出現に気を取られ、スマートホンをしまうのを忘れていた。
でも、今さら隠すわけにもいかない。
「こ、これはその――そう、魔導器という魔法の力が込められた、いわばマジックアイテムです」
僕は適当なことを言ってはぐらかす。
が、リナは興味しんしんだ。
「へえー、いったいどんなことに使うんですか?」
仕方ない。
ならばこの際、スマホの存在がばれたことを逆手に取って、一緒に行くのを諦めてもらおう。
「まあ、いろいろな用途に使えるんですが――例えば」
僕はそう言って、リナに向かって魔法を唱えた。
『スキャン!』
すぐさま、お馴染みのステータスがスマホの画面に表示された。
ネーム:リナ=クラウス
クラス:ノーブル
H P:490/515
M P:0/0
力 :455
知 力:2211
速 さ:752
守 備:222
運 :750
黒魔法:0
白魔法:0
スキル:馬術++ 弓+
状 態:正常
弱 点:ネズミ
決して低いとはえないステータスだが、それでもアリスの各能力値よりはかなり下だ。
「リナ様、ちょっとこれを見ていただけますか?」
と、僕はリナに声をかけた。
「え、なんです?」
リナは僕が差し出したスマホの画面を覗き込む。
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